2012年に長崎県対馬市から韓国人窃盗グループによって盗まれた2体の仏像のうち、1体だけ返還することを15日、韓国の最高検察庁が決定した。

盗まれた仏像は、国の重要文化財である「銅像如来像」と、県指定の有形文化財である「観世音菩薩坐像」。2013年1月に韓国の警察当局が押収していた。盗んだ韓国人らには2013年6月、有罪判決が下っている。日本側は返還を求めていたものの、なかなか返還されなかったが、今回、銅像如来像の返還が決まった。

もう一方の観世音菩薩坐像については、「元々韓国の寺の仏像だ」と主張する声から、韓国の地裁は日本への返還を差し止める仮処分を下した。そのため返還のめどは立っていない。

菅義偉官房長官は15日の記者会見で、盗難にあったものを返還するのは「当然のこと」とし、「もう1体も返還を強く求めていきたい」と語った。

仏像の返還に政治的意図?

今回の返還について日本の各紙は、秋の日韓首脳会談の実現に向け、日韓関係を改善したいとの韓国側の意向がうかがえると報じている。

盗みが犯罪行為であることは言うまでもないが、犯人らが有罪判決を受けているにも関わらず、盗んだものが返還されないのは理解しがたい。しかも、片方は返還されて片方は返還されない状況も加われば、政治的意図があると思われても仕方ないだろう。

仏像は多くの人の信仰の表明

また今回盗まれたのは、ただの「もの」ではなく仏像。宗教的に見るとさらに罪は重い。盗まれた仏像は、文化財として「接近禁止」の札が貼られて保管され、信仰の象徴としては扱われていないという(7月15日付産経新聞)。

大川隆法・幸福の科学グループ総裁は仏像について、著書の中で、「もちろん、仏像自体は物ですが、その仏像を通して、仏や菩薩や観音等への信仰を表しているわけです」と述べている(注)。

多くの人の信仰の表明である尊い仏像を、外交のかけ引きに使ってはならない。韓国政府は速やかにもう1体の仏像も返還するべきだ。(泉)

(注)『本尊と教祖と精舎』 幸福の科学の支部・精舎で頒布

【関連書籍】

幸福の科学出版 『大悟の法』 大川隆法著

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