寺社の建物や仏像などに、油のような液体がかけられる被害が相次いでいる。今年2月から今月10日までに、奈良県で15件、京都府で3件、その他、千葉県、茨城県、静岡県、香川県などで、少なくとも24件の被害が確認されている。
このうち奈良県では、10日、国宝である東大寺の建物や仏像などに、被害が見つかっている。本尊である盧舎那仏坐像(奈良の大仏)を安置している大仏殿では、本尊を安置するための「須弥壇(須弥壇)」という台座や、南大門の金剛力士像の土台部分などにも油シミのような跡がついていた。
各地の警察は、文化財保護法違反や、器物損壊などの疑いで捜査している。しかし、東大寺の大仏を汚すような行為は、文化財保護法違反という罪で片づけられるものではない。
世界的に見ると、聖なるものを汚す行為を、宗教的見地から厳しく罰する国や人々が存在する。
例えば、ミャンマーは上座部仏教(小乗仏教)の国で、敬虔な信者が多く、仏陀を侮辱するような行為を行うと、国外退去や懲役刑になることもある。実際、先月17日、仏像がヘッドホンを付けている広告を作成、使用したニュージーランド人ら3人が、宗教侮辱罪に当たるとして起訴され、懲役2年6カ月の判決が下った。
また、2012年7月には、和歌山県にある熊野那智大社別宮の御神体である、那智の滝に登山家ら3人が登り、現行犯逮捕される事件もあった。3人は、御神体である滝を、ただの岸壁だと思って登ったという。その後、3人は、同大社の宮司から説教を受け、反省の姿勢を見せた。
日本の寺社などでの液体の散布は、軽い気持ちで行われたいたずらかもしれない。
しかし、人々が信仰心の象徴として大事にしているものを汚すことは、彼らの心を踏みにじる行為だ。これは日本国民全体に、人にとって信仰心がいかに大切なものであるか、分からなくなっていることの現れだろう。神仏を敬う気持ちは、人類普遍のものであり、いつの時代のどの国の国民も、決して失ってはならない。
世界中で聖なるものへの崇拝の念が薄れつつある中、日本人は純粋な信仰心を取り戻し、世界の人々に正しい信仰の姿を示す手本となりたいものだ。(泉)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『宗教立国の精神』 大川隆法著
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