防衛省が、日本企業の武器輸出や国際共同開発プロジェクトへ参加するための資金援助制度の創設を検討していることを、17日付の東京新聞が報じた。

武器を輸出する日本企業に対し、国の資金で設立した特殊法人などを通し、低い利子で融資できるようにしたり、日本側が輸出した武器を相手国が使いこなせるレベルまで訓練したり、修繕・管理を支援する制度も整えるという。

ではそもそも、武器の輸出は今までどのように規制されてきたのか。

1967年、佐藤内閣の時に「平和主義を掲げる日本が製造した武器が、戦争に使われるようなことがあってはならない」という考えから、国外に武器を輸出しないという方針「武器輸出三原則」を定めた。今年4月、安倍政権はこれを見直し、基準を満たせば武器輸出を認めるという「防衛装備移転三原則」を閣議決定している。

連立を組む公明党の一部には異論があったものの、同党の主張に基づき、新原則の禁輸対象に「紛争当事国」が盛り込まれたため、容認された経緯がある。

民間と日本政府が協力して武器や関連技術の輸出を促進することで、友好国との安全保障関係の構築、そして、共同開発によって低コストで最新の武器の開発を進めることができる。これは、中国の迫りくる軍事的脅威から日本を守り、中国の覇権主義に対する包囲網をつくることに寄与する。

先の衆院選で自民党が大勝し、憲法改正への道が見えてきたことは、歓迎すべきだ。しかし、安倍政権がスムーズに改正に踏み切るためには、足を引っ張りかねない公明党との関係がネックになるだろう。

そもそも自公は、国政にとって最も重要な外交・国防政策で距離があり、これまでにもたびたび方向性の不一致が見られた。

例えば、今年に入って、沖縄県・米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設が争点となった、名護市長選、県知事選が行われた。この2つの選挙で、自民党は県内移設を容認する候補者を支援する一方、公明党沖縄県本部は「自主選挙」とした。その結果、いずれも移設反対派が当選している。

また、日米防衛協力のための指針(ガイドライン)についても、日米両政府は年内の最終報告を見送った。だがこれは、集団的自衛権行使の限定容認の解釈をめぐり、自公の間で調整が難航したため、と言われている。

安倍政権が本気で憲法9条の改正を成し遂げ、日本を正しい方向へと導くならば、ここまで国防の観点で意見の異なる公明党とは連立を解消すべきだろう。(真)

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2014年4月2日付本欄 防衛装備移転三原則で「日本は死の商人?」 中国の軍拡に目を背ける国内メディア

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