中国の人権状況に関する2014年度報告がこのほど、アメリカ議会の「中国に関する政府調査委員会」によって公開された。今回は、チベットに関する報告に焦点を当てる。

チベットは、1950年に中国の侵攻を受けて以来、中国内の自治領として存在している。チベットにおける人権問題でよくニュースで見聞きするのは、チベット仏教の僧が、中国当局への抗議の意味を込めて焼身自殺を図ることだろう。

同委員会の報告でも、特に目を引くのは、焼身自殺者を出した地域などを対象にした、広範囲なチベット仏教の活動に対する人権弾圧である。

報告によると、中国政府は2013年8月から、焼身自殺を抑止するために共同責任刑罰を導入した。これは、焼身自殺をした個人だけでなく、その家族、村、地域、宗教団体なども刑罰の対象とするものである。刑罰の目的は「人々の社会的活動を阻害し、威圧的な政治環境をつくる」ことである。

だが、これらの共同責任刑罰は、中国の憲法および法律ではまったく言及されておらず、刑罰を受ける側が法廷において控訴する権利や方法も見出せない。

また報告では、刑罰の内容として、住宅支援の打ち切り、土地を農業に使用する権利の剥奪、事業展開の禁止、国からの投資や資金援助の廃止など10項目を紹介。チベット仏教や文化に対する圧迫も続いているとして、「(中国)共産党は依然として、チベットの文化を『調和された社会』を創る意思を持たない、としている」と記す。

こうした中国のチベット政策について、欧米では"Cultural Genocide"「文化的殺戮」と呼ぶ。共産党が意図してチベットの文化を抹消しようとしていることを意味する。

このチベット弾圧の事例を、日本は教訓とすべきである。中国の人民解放軍内では、以前から、日本を中国の極東省にするという構想が存在すると言われている。もし、その野望が成就すれば、数十年後、米議会が公開する報告には、「日本自治区内で、日本人が住居、土地、会社を奪われ、日本語も話せない」という調査結果が掲載されているかもしれない。

チベットは自らの安全保障政策の失敗により、中国の軍門に下ることになった面もある。国家の安全とは、ただ座していれば保障されるものではなく、自らに国を守る気概と能力が必要なのである。

日本は国を守るために必要な法制度の改正や防衛力の強化を早急に手がけ、中国に脅かされている国々や、現在、中国の下で迫害を受けている人々の力となれるよう努力する必要がある。(中)

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