今年のノーベル平和賞が、パキスタンのマララ・ユスフザイさんとインドのカイラシュ・サトヤルティさんに贈られることが10日発表された。
近年のノーベル平和賞は、核軍縮を訴えたオバマ大統領(2009年)や欧州連合(2012年)などに贈られていたが、「本当に平和に寄与しているのか」など、妥当性を疑問視する声も多い。また今回、中国の軍事拡張や北朝鮮の核兵器開発などが進む背景となっている日本の憲法9条が、「憲法9条を保持する日本国民」として受賞候補になり、もし万一受賞すれば、東アジアの平和を大いに脅かすところだった。
しかし、今回受賞した2人はそれぞれ、「性別や身分など生まれによる差別」という両国共通の課題を乗り越えるために命がけで活動してきた実績があり、納得の受賞だ。
マララさんは、女性が教育を受ける権利を認めないイスラム原理主義のタリバンを批判するブログを執筆。自身も女子中学生として通学を続けていたが、2012年にタリバンに銃撃され、頭に銃弾を受けて一時意識不明に。イギリスに亡命し、現在は回復してイギリスの学校に通いながら、世界の女性が教育を受ける権利を訴え続けている。
マララさんは昨年、国連で行った演説で次のように述べた。「イスラムは平和、慈悲、兄弟愛の宗教です。すべての子供に教育を与えることは義務であり責任である、と言っています」。イスラム過激派は、女性が学校に通うことは教えに反するとしているが、敬虔なイスラム教徒であるマララさんの解釈とは異なっている。結局、人間の側が教えを偏狭に解釈することで混乱が起きているのである。
また、インドのサトヤルティ氏が取り組むのは児童労働の解消だ。これまでに救出してきた子供は約8万人。サーカスで働く子供を救出する際には、サーカスを経営するマフィアの暴行により、骨を折られることもあったという。
インドには、「生まれ変わりの間に積む徳によって決まる身分制」と考えられているカースト制があり、生まれながらに職業が決められる。制度としては廃止されたものの、カーストの下層にある子供たちの多くは教育を受けることができない。サトヤルティ氏がこの活動を志したのも、靴磨きの少年が学校に通わせてもらえないことを知り、ショックを受けたためだという。カースト制度によって貧困層が固定化されることは、インドの経済発展を妨げる要因になっている。
幸福の科学の霊査によれば、人間は生まれ変わる中で、男女の性別を入れ替えたり、豊かな環境や恵まれない環境の下に生まれるなど、様々な経験を経る中で魂を成長させている。人間の生まれ変わりについて知ることは、イスラム教やヒンドゥー教のイノベーションを促すことになるだろう。
かつて釈尊が説いた教えは、「生まれによってではなく、行いによって『バラモン(僧侶:カーストの最上層)』になる」というものだった。これは、全ての人間の魂は神仏に作られているために等しく尊く、努力によって偉大な人格を築くことができるという意味である。「全ての子供たちが教育の機会を得て、未来を拓くことができる」という、受賞者2人が目指す世界の実現を、今後も後押ししたいものだ。(晴)
【関連書籍】
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幸福の科学出版 『教育の使命』 大川隆法著
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