女子教育の普及を訴え、イスラム武装勢力タリバンに銃撃されたマララ・ユスフザイさんが18日、今月出版した自伝"I am Malala"を英エリザベス女王に贈呈した。マララさんはエリザベス女王に「世界中の全ての子供が教育を受けられるよう、これからも活動を続けます」と決意を述べている。

今年のノーベル平和賞候補と目されていたマララさんの勇気ある行動は、世界中に影響を与えている。そのエネルギーの源泉は、「信仰観」にあった。

マララさんの生まれたパキスタンの北西部では、2007年からタリバン勢力が厳格なイスラム法によって実効支配した結果、女子の教育が禁止された。これに対し、マララさんは11歳の時にブログで「女子だからといって教育の機会が奪われてはいけない」などのメッセージやタリバンへの批判を世界に発信しており、世界のメディアにも取り上げられている。

タリバンによる度重なる脅迫にもかかわらず、発信をやめなかったマララさんは、昨年10月、通学中にタリバンに頭を撃たれ、意識不明の重体に。イギリスで治療を受けて意識を取り戻し、回復した後は、イギリスの学校に通いながら、積極的に講演活動を続けている。ノーベル平和賞受賞はならなかったものの、欧州連合(EU)の欧州議会の「思想の自由のためのサハロフ賞」など、多数受賞している。

パキスタンでは、女子の識字率は40%に満たない。これには、人権意識が極めて薄く、女性を「財産」として扱う現在のイスラムの考え方が影響している。イスラム圏では、女子を学校に行かせずに家事労働力にしたり、財産と引き換えに10代前半で結婚させたりするなど自由がほとんどない。マララさんが訴える「女子教育の普及」は、イスラム法に縛られて不自由になっている女性の解放につながる。

マララさんは、今年7月の国連演説でこのように語っている。「私は、私を撃ったタリバン兵であっても、憎むことはありません。もし私が、その兵の前に銃を持って立っていたとしても、私は彼を撃ちません。これは、慈悲の予言者であるムハンマド、イエス・キリスト、そして仏陀から学んだ慈悲の心です」。

イスラム圏の改革は、世界宗教の開祖が共通して説いた慈悲の心を理解するなかにある。マララさんが進める女子教育の普及は、この「慈悲」という視点からすべての人々に等しく価値を認め、チャンスの平等、つまり、自由を実現するための大きな後押しとなる。世界平和実現の鍵であるイスラム改革を、世界的に後押していきたいものである。(晴)

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幸福の科学出版 『中東で何が起こっているのか』 大川隆法著

(ムハンマド、アリー、サラディンの霊言を収録)

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