香港で続く普通選挙を求めるデモに関して、6日夜に学生側と香港政府側が交渉し、12日までに事態の収束に向けた両者の対話を行う事で合意した。香港政府は6日までにバリケードの撤去を学生側に要求しており、学生側は一部を撤去した。ただ、参加団体の間で意見の相違があるため、このまま事態が収束するかは不透明だ。
中国政府は、今回の香港での一連の運動について、一貫して報道統制・検閲をしている。
基本的に中国本土の報道機関は、共産党の統制下に置かれているため、香港に対して批判的だ。国営新華社は4日、香港のデモを「違法な集会だ」と非難する声が中国各地で上がっていると報道。また、人民日報web版は、香港のデモが違法だとの政府声明を繰り返し主張し、不特定の外国勢力が支援していると指摘。9月30日付環球時報英語版「グローバル・タイムズ」に至っては、香港のデモを「ノイズ(騒音)」と非難している。
また、中国はSNSの規制も強化している。写真・動画を共有するSNS「インスタグラム」は今回初めて検閲され、中国国内での閲覧ができなくなった。インスタグラムには、「#OccupyHK」や「#OccupyCentral」のハッシュタグがついたデモ関連の写真が29日の時点で7700枚以上アップされていた。しかし、香港警察がデモ参加者に対して催涙ガスを用いた後、インスタグラムを中国国内で開くと、「関係法規と政策に基づき検索結果を示せない」と表示されたという。
さらに、中国版ツイッター「ウェイボ」では、香港のデモに関する検索が制限されている。また、天安門事件25周年だった今年6月4日や、香港で大規模なデモが起きた7月1日よりも多くの発言が検閲され、削除された。中国政府の情報統制は過去最高水準に達しているという。
中国がこれだけ検閲を強化している理由は、香港で起きていることの真相が中国本土に伝わって、ウイグルやチベットなどで独立運動が活発化しないようにするためだろう。ただ、デモが大規模に行われていた時は、ちょうど国慶節の連休と重なっていたため、中国本土から多くの旅行者が香港を訪れており、多くの中国人が香港のデモを目撃している。中にはデモへの称賛の声も上がっているという。
ウイグル、チベット、香港と、中国国内での反中国共産党の動きは、言論の自由や信教の自由に代表される基本的人権が侵害されていることから起きている。情報を統制したからといって、これらの自由を求める運動が収束するわけではない。
中国政府は、検閲で国家の存続を図るのではなく、なぜ民衆からこれほど反発を受けるのか考えるべきだ。今後香港のデモが今後どう展開していくか、継続してウォッチしていく必要がある。(飯)
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