北朝鮮は、自国の人権に関する報告書を公表し、「国民は真の人権を享受している」と主張した。また、2月に国連の調査委員会から人権侵害が行われていると認定されたことについて、重大な誤解があるとし、報告書の中で反論した。このほどウォール・ストリート・ジャーナル電子版が報じた。

今回の報告書では、北朝鮮における最も重要な人権は国民主権とし、国民は拷問を受けたり、奴隷化されない権利、自由に宗教を信じる権利、選挙に立候補する権利を持つなどと記している。

また、報告書には「人権」という単語が700回あまり登場。「70年の歴史の中で形成された北朝鮮の人権制度は、政治、経済、文化を含む社会生活の全分野で人民の人権を保障する優れた制度だ」と自画自賛している(16日付CNN電子版)。

しかし、この主張を誰がまともに受け止めるだろうか。

これに先立つ、北朝鮮の人権に関する国連の調査委員会の2月の報告書では、400ページにわたって北朝鮮では人権侵害が行われていると批判。北朝鮮は、非人道的な国家という事実は世界の共通認識だ。

北朝鮮は昨年12月、親中派である張成沢氏を粛清して以来、中国からのエネルギーや食糧の輸入が大幅に減るなど、中国との関係が悪化。中国も7月、習近平・国家主席が北朝鮮よりも韓国への訪問を優先するなど、北朝鮮から距離をとっている。

経済的な後ろ盾を失った北朝鮮は同月、日本に照準を合わせ、拉致問題の解決に向けた姿勢を見せて、安倍政権を取り込もうと躍起になっている。

ただ、北朝鮮が自国民を奴隷化して働かせたり、他の国民を拉致・監禁するなどの非人道国家であることに変わりはない。

6月には観光ツアーで北朝鮮を訪れたアメリカ人男性が、滞在先のホテルに聖書を置き忘れたという理由で拘束された。また、7月下旬には、首都・平壌市で、参議員・アントニオ猪木氏のプロレス興行イベントが開かれたが、このイベントの同行を希望して、必要書類を提出していた本誌編集者には、なぜかビザが下りなかった。

安倍政権は拉致問題の解決について賢い振る舞いが求められるが、たとえ、多くの拉致被害者を帰国させることができたとしても、その先には、国際社会と連携した金正恩政権の打倒、東アジア地域の平和と繁栄の実現という大義を見失ってはならない。(冨)

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