9月4日付各紙朝刊から、注目記事を拾い読み。

安倍改造内閣発足 「経済を最優先」(各紙)

安倍晋三首相の改造内閣が3日に発足した。安倍首相は会見で「引き続き経済最優先でデフレからの脱却を目指す」と発言。経済と言えば、景気を大きく左右する消費増税の行方が注目されるが、来年10月の10%への消費増税について、首相は「7~9月の経済の回復を含めて、経済状況などを総合的に勘案した上で年内に判断する」としている。

⇒安倍首相の発言は矛盾している。本気で経済を成長させたいなら、消費税率10%への引き上げはできないはず。8%に増税した今年4月からの3カ月、GDPは年率換算で前期比で6.8%減と、東日本大震災時並みの景気の落ち込みぶりを見せた。「経済を最優先」するなら、減税によってお金が循環する速度を高める形での景気回復を目指すべき。

習近平氏が抗日記念日に反日トーンを抑える(各紙)

習近平・中国国家主席が講演した3日は、今年に入って、「抗日戦争勝利記念日」と定められた日だ。しかし、習氏はこの講演で、「中国政府と国民は中日関係の発展に尽力し、関係の長期的で安定した健全な発展を推進する」と発言。これを受けて各紙が、反日的なトーンが弱まったと指摘。日中首脳会談の開催に向けて前向きな動きと好感されている。

⇒だがこれは、11月に北京で行われるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を控えて、関係国との融和姿勢を強調する狙いがあるのではないか。中国は歴史的に、物事が自国に有利に働くのであれば、どんな手を使ってでも実現させてきた。その教訓を踏まえれば、習氏の動きに一喜一憂するべきではない。引き続き、対日強硬、軍拡路線に大きな変更はないと見て、日本はそのための備えを強化する必要がある。日中首脳会談が開催されるに越したことはないが、開催の条件としてこれまで中国が主張してきた「安倍首相は今後、靖国参拝しないと約束すること」というものは、勝手な言い分であり、日本はこの問題でも譲歩すべきではない。

朝日新聞が掲載を拒否していた、池上彰氏のコラムを、一転して掲載(朝日)

朝日新聞が、連載中のジャーナリスト・池上彰氏のコラム掲載を拒否していたが、4日、一転して掲載した。同コラムは、慰安婦問題にまつわる同紙の8月5日付と6日付の訂正記事の足りない点と、これまでの記事の矛盾点を指摘したもの。池上氏の指摘は穏当なものであり、同紙WEB版の池上氏のコラムへの読者からのツイートには、「なぜ掲載できなかったのか理解に苦しむ」という趣旨の声が並んでいる。

⇒朝日新聞の木村伊量社長は、会社案内で「公器にふさわしい『志のある企業』であり続けたい」としている。公器を自負する以上、国益に資する報道を追求すべきであろう。各方面から、8月の朝日の訂正記事は不十分であるという批判が集まっているが、同紙は真摯に受け止めなければならない。朝日新聞は、長年、間違った記事を世界中に発信し続け、日本を貶め、国際問題へと発展させた。このマイナスの影響を考えれば、世界中に論争の火をつけて回ったのと同じレベルで、火消しをして回らなければいけないはずだ。(居)

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2014年9月号記事 日本とドイツもう謝罪は要らない

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2014年9月3日付本欄 新安倍内閣は「ノーサプライズ内閣」 国民は「入閣待機組」の不満に興味はない

http://the-liberty.com/article.php?item_id=8376