2014年9月号記事
第25回
釈量子の志士奮迅
世の中は変えられる!
釈量子
(しゃく・りょうこ)幸福実現党党首。1969年東京都生まれ。國学院大学文学部史学科卒、大手企業勤務を経て、(宗)幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。
2013年7月から幸福実現党党首。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
山奥の村を「奇跡の子宝村」にした村長の「成長戦略」とは
画像1 下條村のローカルヒーロー「地域戦隊カッセイカマン」
画像2 伊藤村長と握手する釈党首。
画像3 若者向け集合住宅。若い夫婦が数多く住み、昼間には子供の声が響く。
地方に足を運ぶにつけ、少子化・過疎化の深刻さを感じます。全国知事会議は7月15日、人口減少を「国家の基盤を危うくする重大な岐路」として、「少子化非常事態宣言」を採択しました。地方自治体の危機感には、並々ならぬものがあります。
7月初め、そんな各自治体関係者が「奇跡の村」「子宝村」と呼ぶ、長野県南部の下條村に行政訪問いたしました。
下條村は、都会から遠い山村。少し前には大きな企業もなく、唯一の自慢が「俳優・峰竜太の出身地」だったとか……。
しかし下條村は、少子化・過疎化を食い止めたどころか、10年で人口を1割増やし、出生率は1・97人を叩き出しました(1998~2002年平均)。これは、県内1位の数字であり、全国平均1・29人(04年)を大きく上回っています。
その成功の裏には、92年から村長を務める伊藤喜平氏の優れた手腕がありました。
村中の意識改革で全国4位の財政健全性へ
村のガソリンスタンド店を経営していた伊藤氏は、「人が減ったら村が衰退する」という危機感から、村議を経て村長になりました。
伊藤村長はまず、改革を支える「お金」づくりから始めます。
第一にてこ入れしたのが、仕事が遅く、コスト感覚のない役場職員の意識改革でした。研修として、職員全員をホームセンターの店頭に立たせたのです。民間の仕事の厳しさと、達成感を知った職員の目つきは、みるみる変わっていきました。
その結果、行政効率が向上。現在では同じ規模の自治体の半分程度の人数で、行政を回しています。
次に村長は「資材支給事業」という政策を実行しました。村には道路・農道整備の需要が多くありますが、この政策は「セメントや重機の燃料は村が用意するが、簡単な工事は村民が行う」という驚くべきものです。当然、村民は強く反発しました。
しかし、ある集落が「役場の職員も頑張っているから」と道路を造り始めると、他の集落もそれに続きました。ひとたび道路ができると、村民たちは自作の道路に誇りを持ち、その上に建設年月日を刻印し、記念としているそうです。
村長いわく、「試練を克服し、難しい目標にチャレンジして得た、達成感や感動が『幸せ』なんです」。村が一体となった努力が功を奏し、実質公債費比率(注1)は全国1742市町村中、4位となり、村の貯金も59億円に上りました。
財源を「少子化対策」にピンポイントで投下
釈量子の守護霊霊言
目からウロコ! 幸福実現党の新党首の秘密
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そして村長は、捻出した財源を、改革の本丸「少子化対策」にピンポイントで投下しました。
その目玉は、「若者向け集合住宅」の建設。2LDKの20坪に、3万3千円という、現地相場の半分で入居できる制度をつくったのです。
しかし下條村は、国からの補助金をもらいませんでした。「入居者は抽選で決める」などの制約がつくからです。代わりに、「子供がいる」「結婚の予定がある」「村の行事に参加する」という独自の入居条件を設定し、本当に村の発展につながる投資にしようとしたのです。
さらに、保育料の値下げなどの子育て支援や、中学生の海外研修を補助し、立派な図書館なども建設しました。思いきった投資の結果、若者が集まり、子供を生み、出生率が奇跡の上昇を見せました。そんな村の将来性を見込み、進出に名乗りを上げた企業もあり、好循環が始まっています。
自分たちで元手をつくり、必要なことを見極めて大胆に投資する。この村長の財務的な手腕には目を見張るものがあります。
「自分にできることは何か」という原点に戻る
村長が、この改革の根底にある精神として、「まず隗より始めよ(注2)」と何度も口にされたのは印象的でした。それは、村民は村に頼らず、村は国に頼らず、「自分のできることは、自分でやる」という原点に戻ることでもあります。人間は、己に厳しい人を見ると、自分の甘さを痛感し、感化されます。村長の責任感は、職員に伝染し、それが村民にも伝染しました。これが、下條村の「成長戦略」の核だったことがわかります。
各人の「自助の精神」こそ、日本が「人口減」「財政問題」を解決するために最も重要――。改めてそう感じた訪問でした。
私たち幸福実現党も、国民に「自分にできることは何かを考えましょう」と呼びかける政党でありたいものです。