ドイツのメルケル首相が訪中し、政府首脳らと会談を行った。習近平国家主席は7日の盧溝橋事件77周年式典において、日本の歴史認識を激しく非難。しかし、同日の会見でメルケル首相はこれについてコメントを避けており、中国の反日姿勢と一線を引いている様子を感じさせた。

これまでドイツは、経済的な影響を考慮し、中国批判を避ける傾向にあった。しかし今回の訪中でメルケル首相は、李克強首相との会見で「経済発展と人権は一対」(9日付MSN産経ニュース)と主張するなど、人権を軽視する中国共産党政府を牽制。北京大学で人権や民主主義の大切さについて講演を行い、天安門事件と同じ1989年に旧東ドイツで起きた平和革命を取り上げた。

中国はドイツが先の大戦について謝罪していることを引き合いに出し、「日本は謝罪しない」と、講和条約や過去の経済支援などをまったく無視した不当な非難を続けている。一方、メルケル氏は訪中前に安倍晋三首相と電話会談を行い、日本への配慮を見せた。メルケル氏訪中を利用しようとした中国の思惑通りには行かなかったようだ。

また、ドイツ国内では日本の歴史認識問題について、保守派の立場が取り上げられ始めている。週刊新聞「ディー・ツァイト」(6月5日付)は、2012年9月に尖閣諸島に上陸した幸福実現党のトクマ氏のインタビューを掲載し、尖閣諸島をめぐる日中の争いによって、同氏が「愛国心に目覚めた」ことを紹介している。

インタビューでは、もともと祖父が戦時中に行っていたことを恥じていたトクマが、さまざまな書物を読むうちに歴史認識が変わり、日本の「戦争犯罪」や「従軍慰安婦問題」で受けている非難について、「日本を貶める目的の嘘が数多くあることを認識し始めた」ことに注目。トクマはこれらのことを通じ、「祖父への誇りを取り戻すことの大切さを学んだ」と話している。

同紙は、幸福実現党が4月に首相官邸前で行った集会で、トクマが「日本はアジアの英雄。日本人は、ヨーロッパ人による植民地支配からアジアの人々を開放した」と声を上げたことも紹介。左派として知られる同紙が、日本で保守的な活動をしている政治家のインタビューを報道したことは異例といえる。ドイツで日本への正しい理解を得るために大きな前進だ。

日本は今後、対外的な情報発信を続けていくべきだ。それと合わせ、外交面でも単にアメリカ追随ではなく、ドイツのように、中国への牽制を強めている国々とも協力しあうことが大切だろう。(晴)

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