香港で自由を求める声が高まっている。

香港では「香港返還記念日」である1日にあわせ、普通選挙の実施などを訴えるデモが開催された。過去10年で最大の50万人余りが参加したという。

デモの発端は何か。英植民地だった香港が、1997年に中国に返還されたとき、香港は資本主義や高度な自治を許す「一国二制度」と、10年後の普通選挙を約束された。しかし中国政府は2007年、「早すぎる」として選挙を延期。香港市民は、次に行政長官が選出される2017年に望みを託す形になった。

中国政府は、その約束も反故にしようとしている。先月に「香港白書」を発表し、2017年の選挙で、「中央政府の意に沿わない人物の立候補は認めない」という方針を示唆したのだ。香港市民は、2度目の"裏切り宣言"に、大きな衝撃を受けた。香港市民の、「自由を失うこと」への危機感が、50万人という今回のデモの参加人数に表れている。

「香港返還記念日」に先立ち、幸福実現党の釈量子党首と、これら民主化運動を主導してきた李柱銘 (マーティン・リー)氏が6月に対談した。

李氏は、香港市民のアイデンティティについて「中国とは違う『香港人』だと考えている」と強調。理由として「このような対談も許される、自由な政治制度を大切にしている」ことを挙げた。また、日本に対しても、「中国に『約束を守れ』と圧力をかけてほしい」という期待を示した(内容は近日、当ウェブサイトにて公開予定)。

今年に入り、香港以外にも、台湾やベトナム、フィリピンなど、各地で反中デモが行われた。アジア中に、中国の拡張主義に警戒する空気が生まれている。

日本では1日、そうした危機に対抗するため「集団的自衛権の行使容認」が閣議決定されたが、「この決定は日本を戦争できる国にする」などと反対し、官邸前では数千人規模の抗議デモが行われた。中国外務省の洪磊副報道局長は1日の定例会見で、日本の閣議決定に関して、「我々は日本国内に強烈な反対の声があることを注視している」と指摘したように、このデモは中国をむしろ"喜ばせて"しまっている。同じデモだが、香港と日本では目指すものが正反対と言える。

しかし、日本は今、中国の拡張主義に対し、「アジアの自由を守る」潮流を大国としてリードしなければならない立場にある。アジア諸国からの大きな期待を背負っていることを自覚すべき時が来ている。(光)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『自由の革命』 大川隆法著

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