中国の李克強首相はこのほど、イギリスを訪問し、キャメロン英首相と会談。それに併せて、主に経済分野における「包括的な戦略的パートナー」として関係を強める内容の共同声明を発表した。しかし今回の会談は、英国の情けない外交姿勢を、世界にさらす結果となった。
英政府は会談で、チベットなどの人権問題を協議するとしていたが、結局、話題に上がることはなかった。また、中国が香港に普通選挙を行わないよう圧力をかけている問題に関して、イギリスが旧宗主国として香港支持を表明すると期待されていたが、それも裏切られた。イギリスは民主主義の大国として、「するべきことをしなかった」のだ。
また驚くことに、中国側は、李首相とエリザベス女王との面会が実現しなければ英訪問を取りやめると“脅し"て、強引に実現させたという。この無礼を英タイムズ紙が批判したことに対し、中国共産党中央委員会の機関紙「環球時報」は「イギリスの国力は、今や中国と比べるべくもない。自分たちの高貴さを強調したい幾人かのイギリス人にとっては受け入れがたいことだが、それが真実なのだ」と、驚くべき反論をした。
さらに、ロンドン・ヒースロー空港で李首相を迎えるレッドカーペットに関して、「長さが標準に達していない」とクレームをつけている。
こうした無礼な振る舞いにもイギリス側が怒らないのは、経済的利益で釣られているからだという見方が強い。英中両国は今回、エネルギー、金融などの分野で総額2兆4000億円の貿易・投資契約を締結。キャメロン首相は、来年の総選挙で再選を果たすことを目指して、経済界に配慮したと見られる。
しかし、結果的に中国は「自国の台頭」を国際的にアピールし、人権弾圧や覇権拡大をしやすい環境づくりを一歩進めた。それに利用されたイギリスも責任の一端を問われる。キャメロン氏が昨年5月、ダライ・ラマ14世と会談をした際、中国側は国内のイギリス企業を締め出す措置をとったが、この時にも、キャメロン氏は、結局、「ダライ・ラマとは今後面会しない」と発言した“前科"がある。イギリスの弱腰姿勢に味をしめた中国は、これからも経済的利益と引き換えで様々な譲歩を引き出そうとしてくるだろう。
2010年の尖閣沖の中国漁船衝突事件で、日本政府が「レアアースの対日禁輸」の産業界への影響を恐れて中国船船長を釈放した。その後、尖閣沖への中国漁船侵入は常態化しつつある。それに関して、幸福の科学グループ・大川隆法総裁は著書『平和への決断』で「今、日本にとって大事なのは、『外交の鉄則』をきちんと立てることです。そして、『今後、日本の外交は、このような鉄則の下に行う』ということを、あらかじめ、国内および外国に対し、明確に示しておくことが大事なのです」と指摘した。
だが、この指摘は、日本のみならず、どの国にも言えることであろう。中国の覇権拡大を防ぐためにも、「経済的な利益よりも、民主主義を守る、領土を守るという原理・原則を守るべきだ」ということを、今一度、イギリスのみならず世界各各国で確認し合わなければならない。(光)
【関連書籍】
幸福の科学出版 『平和への決断』 大川隆法著
https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=32
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