2010年6月号記事

「国営ネズミ講」が潰れる前に 年金問題の根本解決

人口構造が変化したため、もはや財政基盤が成り立たなくなり、不祥事で信用も失った今の年金制度は、すでに“死んでいる”。

若い世代にツケを回さないためにも、現行の年金の破綻処理と制度の抜本改革、新たな高齢社会・日本のデザインが必要だ。

(編集部 田中司、小松由佳)

「自分が将来、年金をいくらもらえるか知っていますか?」

65歳未満の読者の皆さんは、この質問に答えられるだろうか。65歳が間近な人や、仕事柄、年金に詳しい人でない限り、おそらく答えられないのでは?(正直、記者も答えらない)。また、サラリーマンなら毎月の給料から厚生年金保険料を天引きされているが、その保険料の決まり方や使われ方を理解している人も非常に少ないはずだ。

これらは決して、知らないほうが悪いとは言い切れない。今の日本の年金制度(注)が、あまりに複雑でわかりにくいのである。私たち国民の老後の生活にかかわる年金制度が、これほどわかりにくいということ自体、大きな問題だと言わねばならないだろう。

そこで今回は、できるだけシンプルな形で、今の年金制度の真実とその問題点、解決策を考えてみたい。

(注)本稿で「年金」という際は障害年金や遺族年金でなく老齢年金のみを指す。