2014年7月号記事
Part 2
プーチンはヒトラーの再来ではない
クリミア併合に見られる強硬な姿勢や、国内政治における独裁的な一面から、社会主義を復活させようとしているのではないかと批判されるプーチン氏。パート2では、ロシア国内に焦点を当て、その行動の背景を探る。
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ウクライナの合意を得ずにロシアが3月にクリミアを編入したことを受け、欧米は「国際法違反」と批判した。ショイブレ独財務相は、「ヒトラーによるズデーテン地方の併合のようだ」と発言。プーチン氏は国際秩序や民主主義を破壊する「独裁者」というイメージが広がっている。
また、ロシア国内でプーチン氏が独裁的な動きをみせていることも確かだ。地方首長の候補を直接選んだり、政府に批判的なテレビ局のオーナーを辞めさせるなどしてきた。プーチン氏がソ連の情報機関であるKGB出身という経歴とも無関係ではないかもしれない。
ウクライナ暫定政府は違法状態
だが、クリミアやロシア国内の問題については、もっと多角的な視点による分析が必要だ。
例えば、親欧米派のウクライナ暫定政府は、ロシアのクリミア併合は憲法違反と批判する。しかし、その 暫定政府自身が、憲法に基づく民主的な選挙で選ばれた政府ではない。厳密に言えば、民主的に選ばれたヤヌコビッチ大統領を追い出した「非合法政権」である。
また、暫定政府がつくるウクライナ議会は3月、全人口の2割がロシア系であるにも関わらず、ロシア語を準公用語から除外した。これにロシア系住民が猛反発。同国東部のドネツク州などが独立を求める事態に発展した。後に除外は撤回されたが、ロシアの評論家であるヤフリンスキー氏は、「反ロシア派(親欧米派)の民族主義的政策が極端に走った」(中国新聞網電子版)と指摘する。