最近、日本各地で深海魚が浜辺に打ち上げられたり、浅い海で漁の網にかかったりするなどして、話題になっている。

3月、山口県長門市の白潟海岸に、体長4メートルを超える「幻の魚」リュウグウノツカイが打ち上げられた。リュウグウノツカイは普段、水深200メートルほどの光の差さない深海に生息している。

また、4月下旬、京都府舞鶴市の竜宮浜漁港付近の水深15メートルほどの地点で、体長約1.7メートルの細長い体をした銀色の深海魚サケガシラが網にかかった。捕まえた漁師は、「水深数百メートルの沖合では年に何匹かとれるが、こんな近いところまで上がってくるのは珍しい。60年漁師をしているが、初めてだ」(4月23日付京都新聞)と話している。

他にも、4月下旬、高知県室戸岬沖の定置網に、ほとんど生態が分かっていない、黒い身体に笑ったような顔をした、あごの下に発光体をもつ深海魚「ホテイエソ」が100匹以上も獲れる日が続いた。ちなみに室戸では、昨年に1匹獲れるまで、ホテイエソが獲れたことはなかったという。

これ以外にも、ここ半年ほどの間に、日本各地の浅い海で深海魚が多数捕獲されているが、こうした深海魚の「豊漁」について、大きな地震の前触れではないかという声もささやかれている。

4月、静岡市の由井浜で、これまで発見例が50ほどしかない珍しい深海ザメ「メガマウス」が捕獲された。これに対し、地震前兆研究家の百瀬直也氏はブログで、それまでの例から「6月中旬あたりまで、日本海側と太平洋側と両方地震に注意が必要かもしれない」と指摘している。

百瀬氏のブログによると、1994年11月29日に福岡市の砂浜にメガマウスが打ち揚げられた後、95年1月17日に阪神淡路大震災が起きた。また、2011年1月14日に三重県沖でメガマウスが獲れた後、同年3月11日に東日本大震災が起きるなど、発見からおよそ2カ月以内に地震が起きているという。こうしたケースは、冒頭で紹介したリュウグウノツカイなどでも報告されている。

深海魚の動きから地震を予知する理由は、海溝型の地震が起こると、岩盤の歪みからくる電圧で電流が流れ、ほんのわずかな電流でも感知する能力を持つ深海魚が、電流を避けるために浅い海まで上がって来るというもの。電流を避ける行動は、水槽の中の金魚での実験でもみられるという。

この「地震予知説」の他にも、海水温が低い季節に、深海の温度と海面に近い海水の温度の差がなくなり、境目が分からなくなった深海魚が間違って上がってくるという説もある。今年の冬は特に寒かったため、勘違いした深海魚が、浅瀬に上がってきたのではないかというものだ。

珍しい深海魚の「豊漁」に注目が集まっているが、この真の理由は一体何なのだろうか。本欄でも、引き続きウォッチしていきたい。(居)

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