宇宙探査の国際協力のための初の閣僚級会合が、9日に米ワシントンで開催された。

米政府はこの中で、2020年に運用を終える予定だった国際宇宙ステーション(ISS)の運用を4年延長し、2024年までとする方針を提案した。ISSでの研究は宇宙探査との直接の関連は薄いものの、アメリカはあくまで「国際協力の先例」として位置づけている。

ISSの運用延長をアメリカが提案した背景には、2020年以降も宇宙開発で世界をリードしたいという意図が見え隠れする。2020年には中国が独自の宇宙ステーションの運用を開始する予定。中国は昨年12月に無人探査機の月面着陸に成功するなど、宇宙開発で激しくアメリカを追い上げている。

アメリカは同時に、航空宇宙局(NASA)が2030年代の火星有人探査に向けた技術開発に力を注ぐ。欧州と協力して有人宇宙船「オリオン」を開発する予定もある。米中の宇宙開発合戦が本格化しているのだ。

欧州とアメリカの有人宇宙開発での協力について、11日付朝日新聞は「(欧州の代わりに)日本がやりたかった」という日本の宇宙関係者の声を紹介した。しかし、宇宙関連の予算が削られる中で、日本は有人宇宙開発はおろか、2020年以降のISSでの日本の負担分を確保することすら危うい状況だ。

中国やインド、韓国などが熱心に宇宙開発を進める中で、「宇宙先進国」としての日本の存在感は相対的に下がる危機に瀕している。

安倍晋三首相は大規模な公共投資策を講じているが、目先の景気対策が多く、「第三の矢」と位置づける成長戦略も不発のままだ。明日の基幹産業を育てる長い目で見た投資という成長戦略として、宇宙開発は推進すべきものであり、財政が厳しいならば、宇宙開発債を発行して民間から資金を募るという手もある。

宇宙事業関係者の「ため息」をそのままにせず、安倍政権は宇宙開発というフロンティアに取り組むべきだ。(居)

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