領海の範囲を決める基点となる離島のうち、約280の島に所有者がいないことが分かり、それらの島を重要国土として国有化する方針を政府が決めた。5日付産経新聞が報じた。

日本の国土は6,852の島からなり、領海の基点となる離島は約400(重複は除く)あるにもかかわらず、これまで国境離島に所有者がいるかどうか調査していなかったという。

国有化を決めた背景には、尖閣諸島近海などでの度重なる中国の領海侵犯や、長崎県・対馬の海上自衛隊施設周辺の土地を韓国資本に購入されるなど、外資による土地買収の問題がある。

1日にも、尖閣諸島・魚釣島に上陸する目的を持って熱気球に乗っていた中国人男性が、尖閣諸島沖に不時着して日本領海内で発見されたり、4日には、尖閣諸島沖の接続水域を中国海警局の公船「海警」2隻が航行するなど、中国の挑発行為は続いている。

資源小国の日本にとって、領海を守ることは、国防のみならず産業の発展のためにも重要だ。

日本の国土は狭いが、領海と排他的経済水域は世界第6位の広さがあり、日本近海の海底には豊富なエネルギー資源や鉱物資源の存在が確認されている。5日付読売新聞でも、政府が海底熱水鉱床などの鉱物の採取に向けて、民間企業と共同で探査技術の開発に着手することを決めたと報じている。

日本近海では、海底熱水鉱床のほかにも、ハイテク産業に欠かせない成分が高濃度で含まれるレアアース(希土類)泥や、次世代エネルギー資源として期待されるメタンハイドレートなどの発見が相次いでおり、技術が進めば日本が資源大国になることも夢ではない。

このたびの国境離島国有化の決定は、中韓の動きに比べ出遅れ感はあるものの、国土と領海を守る姿勢を示したことは評価できる。ただ、尖閣諸島をめぐって中国が挑発行為をエスカレートさせたのは、同諸島の国有化の後のことだ。また、年末に閣議決定された「防衛大綱」の離島防衛の方針は「占領されてしまった島を奪還する」ことを想定しているが、そもそも島を占領させない防衛体制を築くことが重要だ。

国境離島の国有化にとどまらず、実質的に島を守れる体制づくりを進め、日本の安全と将来の発展の基礎とすべきだ。(紘)

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