2014年2月号記事
『忍耐の法』特集
「常識」を逆転せよ!
唯物論者たちの回心.3
contents
Part 3.
マルクス思想を捨てるには?
マルクス主義(共産主義)や社会主義を信じる人は現代にも多い。かつては、多くの左翼学生が学園紛争に身を投じたが、それを捨てることができた時、何が起こるのだろうか。
「革命家も幸せになっていいんだ!」 苦しい自己犠牲からの脱却
(株)霧生正博企画室チーフ・エグゼクティブ・オフィサー
霧生正博
(きりゅう・まさひろ)1949年生まれ。神奈川県出身。外資系広告代理店など数社を経験。TV番組構成、作詞、歴史記事執筆、雑誌編集などを幅広く行う。
私が政治に目覚めたのは、高校生の時に、特攻隊を描いた映画「同期の桜」を観たことがきっかけでした。十代の少年たちが命を賭けている姿に感動したのです。「若者ならば、何か命を賭けるものがあるべきじゃないか」と、突き動かされるものがありました。
しかし、当時は左翼全盛です。私の情熱は左翼運動というかたちで発揮されてしまいました。特攻隊とはまるで反対です。
「俺はどうせ野垂れ死にだ」
私は明治大学に入り、あるセクトに属して活発に活動するようになります。機動隊との衝突は毎週のようにあり、左翼同士の内ゲバ闘争にも参加していました。
マルクスの「労働者を搾取している資本家や権力者を倒せ」という階級闘争の理論を信じて闘っていましたが、心は苦しく、常に暗さが付きまとっていたと思います。 「ユートピア」を目指していながら、なぜか「幸福」という概念が私の中にはありませんでした。
内心「俺はどうせどこかで野垂れ死ぬだろう。獄中で死ぬか撃たれて死ぬかは知らないが、いつかそうなる」と思っていました。 社会を変えるためには、自分のような人間が犠牲にならないといけない──。一種のヒロイズム(英雄主義)です。