北朝鮮は24日、国防政策を司る国防委員会が声明を発出し、核実験の実施をほのめかした。同国をめぐっては今週、国連安全保障理事会が昨年12月の北朝鮮によるミサイル発射を非難し、制裁を強化する決議を採択したばかり。今回の挑発は、国際社会の動きに対する反発の意味が読み取れる。
声明は安保理決議を、「米国が主動となって裏面交渉で骨格をつくり、盲従に体質化された加盟国がカカシのように手を上げて採択した」(北朝鮮・朝鮮中央通信が掲載した日本語訳のまま。以下4つの引用も同)と罵った上で、6カ国協議などは「これ以上、存在しない」と宣言した。その上で、アメリカなどに対する「全面対決戦にこぞって立ち上がることになる」と警告するとともに、「高い水準の核実験」を行うことを示唆。その標的は「朝鮮人民の不倶戴天の敵である米国」だという。
昨年末のミサイル実験で、北朝鮮は大陸間弾道弾(ICBM)の開発に弾みをつけており、数年でアメリカ本土を射程に収めるようになるという指摘もある。焦点は、北朝鮮がミサイルに搭載できるレベルまで核弾頭を小型化できるかどうかだ。「高い水準の核実験」が何を指すのかは不明だが、過去2回の実験で使用したプルトニウムではなく、北朝鮮が高濃縮ウランを使った実験を行う可能性がある。実際に、北朝鮮は2010年、アメリカの科学者らにウラン濃縮施設を公開している。
ウラン濃縮施設は地下などに隠しやすく、衛星などで監視したり、空爆で取り除くことが難しい。もしウラン型の実験が成功すれば、核兵器の製造能力が高まるほか、アメリカなどの軍事行動がより困難になる。
俗に「狂人に刃物」と言うが、飢える人民を犠牲にしながら狂ったように軍事開発にいそしむ北朝鮮が、核兵器という極めて危険な“刃物"を持とうとしているのだ。理論上、もし北朝鮮が核ミサイルでアメリカを脅せるようになれば、「日米同盟を破棄しないと、米本土に核を落とすぞ」と威嚇し、北朝鮮が日本を植民地にすることさえ可能になる。
頼みのアメリカは、国内で平等な社会を創ることを掲げると同時に、大幅な国防費削減を目指すオバマ大統領の下で、強気の行動は望みがたい。日本は「自分の国は自分で守る」という覚悟を今こそ固め、自ら核抑止力を持つことを真剣に考えなければ、国家の存立さえ危ぶまれる事態が数年先に迫っている。
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