IMF年次総会。「財政再建」ではなく、成長路線と中国の為替操作をやめさせることが、本当の課題だ。写真:ロイター/ アフロ

2012年12月号記事

東京で10月に開催されたIMF(国際通貨基金)の年次総会では、世界経済の減速に対する懸念が表明され、共同宣言にも「危機からの持続的な回復を確保する必要がある」という一文が盛り込まれた。欧州危機に加え、アメリカが来年からの増税と歳出削減で不況に落ち込む危険があり、世界同時不況の可能性が高まっているからだ。

これまで増税や歳出カットといった緊縮財政で、各国に財政再建を迫ってきたIMFが、景気減速への問題意識を持ち始めたのは評価できる。その一方、「成長を損なわない程度に財政再建を行うべし」というメッセージは、どっちつかずの印象をぬぐえない。