総務省が発表した今年3~8月期の人口移動報告で、福島県は2011年の同時期に約2万5千人の転出超過だったが、12年も同じ時期の転出が約2万5千人、転入が約1万5千人と、約1万人の転出超過だった。その内、0才~14才の転出超過が約2300人、25才~44才の転出超過が約3300人と、子供への放射能の健康被害を懸念した県外転出が多いと思われる。

この動きの最大の原因は、原発事故への政府の過剰反応だろう。

大熊町は21日、町に「5年間帰らない」復興計画を可決した。人口の95%が住む区域の、年間被ばく量が50ミリシーベルト超のため、5年間立ち入り禁止になってしまうためだ。原発事故で避難している自治体が、全域で長期間戻らない計画を決定したのは初めて。

そうした情報に頻繁に接することで、子供の健康を心配する親が県外への引っ越しを決意しているのだろう。しかし、専門家によると、福島には帰還困難区域はないという。

本誌連載の放射線防護学研究家の高田純教授は、政府が年間の被ばく線量50ミリシーベルト以上の土地を帰還困難区域にすることに対し、次のように述べている。

「政府は大気中や土壌の放射線量を測って年間に換算するという意味のないことをしているだけです。私が以前から主張しているように、個々人の線量をこそ測る必要があります。私は今年の3月、原発20キロ圏内の浪江町の農家に2泊3日して個人線量を調べました。その結果、町の外に一切出かけずに暮らし、除染もしないという前提で計算しても、個人線量は年間20ミリシーベルト未満というものでした。これは政府の言う『避難解除区域』のレベルです」「本当は除染しなくても健康被害は起きません」

政府は放射線量を、実際に生活している人が受けるよりも多くなるような方法で測定し、福島の人々に必要のない避難生活を強いるばかりでなく、不安をあおって県外転出者を増やし、福島の復興を遅らせている。そのような「公害」を一刻も早く改め、すべての被災者が安心して日常を取り戻すためにも、政府は過剰な基準を改め、実際の生活に即した基準で被ばく線量を測定するべきだ。(居)

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