1945年、広島、長崎に原子爆弾の投下を命じた当時のハリー・S・トルーマン大統領の孫であるクリフトン・トルーマン・ダニエル氏が初めて訪日し、6日の広島、9日の長崎の平和式典に参加した。

広島の平和記念式典に参列した直後の記者会見の場で、ダニエル氏は、「I was praying for the souls lost in Hiroshima, and trying to imagine … what must have happened on a beautiful August day.(広島で失われた魂のために祈り、美しい8月のある日に起きてしまった出来事を、なんとか思い描こうとしました)」と語った。

同氏は、自分が間接的にではあれ、関わっていることに対して、人間としての良心に基づいて役に立てることはするが、そのことと国家レベルでの戦争責任や政治、外交上の問題とは別個のものだ、と考えているようだ。

訪日前、ダニエル氏は、日本のマスコミのインタビューに応じているが、祖父が元大統領であることは、6歳の時に小学校の教師から教えられて初めて知ったという。学校や本では「原爆投下は、終戦を早め、日本本土侵攻に伴う米軍の犠牲を防いだ」と学び、「多くの米国人の命が救われ、多くの日本人の命が奪われた。戦争中の選択が正しいか、間違っているか(を判断すること)は難しい問題だ」と語っている。

また、「祖父は原爆投下の決断の正しさを信じ続けていた」「贖罪について討論するためではなく、被爆者の話を聞いて世の中に広め、核兵器廃絶のために少しでも貢献することが、原爆の威力を恐れ、二度と原爆を使用しないよう命じた祖父の意志を継ぐことになる」との決心を語り、3日に訪日してからは、実際に広島の平和記念資料館を見学し、広島や長崎の被爆者たちと対面して、彼らの体験談に熱心に耳を傾けたという。

核兵器は、人間を魂のレベルまで破壊してしまうため、その使用は許されるべきものではない。核兵器は、地球にとっては自分の体に巣食う「ガン」のようなものという面がある。日本はその恐ろしさを身をもって体験した唯一の国だ。しかも日本は中国や北朝鮮、ロシアといった核保有国に周りを囲まれてしまっている。「過ちは二度と繰り返しませぬから」と情緒的に過去の出来事にこだわるばかりではなく、今後、地球上で核兵器が使われることのないよう、核を抑止できる力を日本も持つ努力をすべきときがきている。〈宮〉

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