西日本の複数の発電所が、水クラゲの大量発生に悩まされている。
関西電力管内では今年、9カ所ある火力発電所のうち、兵庫、京都、大阪、和歌山の7カ所で水クラゲ被害が出ており、過去5年で最も被害件数が多くなっているという。
6月中旬には、火力の大阪市の南港発電所、兵庫県の姫路第2発電所の計4基で、海水の取水口付近にクラゲが大量に押し寄せたため、除去処理が追いつかず、計90万キロワットも出力を抑制する事態となった。
7月8日には、再稼働したばかりの福井県の大飯原子力発電所3、4号機の取水口に大量のクラゲが押し寄せて、一時、出力を引き下げたほか、フル稼働状態になった後の30~31日にも、取水口にある漂流物を除去するスクリーンにクラゲが張り付き、取水能力が落ちたため、出力を抑制せざるを得なくなった。
その後、7月27~28日には、兵庫県の赤穂発電所2号機と1号機でも、クラゲが原因で一時発電が停止した。この2基で、原発1基分に相当する計120万キロワットの出力が失われたという。
その他、岡山県にある中国電力の水島火力発電所1号機も、大量のクラゲを処理し続けていた集塵機が壊れたため、7月28日に運転を停止している。
水クラゲは、通常、春に分裂して増えるが、冬の海水温度が高くなると、その発生時期が前倒しされて増加するのではないかと考えられている。さらに、発電所がある周辺域では、人工護岸や桟橋など、クラゲのポリプが張りつきやすい場所が多いため、増えやすいのではないかとも言われている。
また、原発は冷却水用に特に大量の海水を取り込むために、吸い寄せるクラゲの量も比例して増えるようだ。
関西電力は、監視体制を強化するなど、クラゲ対策に追われているが、クラゲの流入を防ぐ網や集めたクラゲを処理するシステムを開発しているメーカーもあるようなので、電気を安定して供給できるよう、万全を期してもらいたいものだ。〈宮〉
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