2012年9月号記事

昨年10月に起きた大津市の「いじめ自殺」は7月11日、とうとう、市教育委員会と自殺した男子生徒の通っていた中学校への警察による家宅捜索へと発展した。学校でのいじめを巡り、警察が市教委や学校を捜索するのはきわめて異例だ。

学校側は当初、「いじめはなかった」と説明していたが、大津市教委が全校生徒にアンケート調査した結果を受けて、11月、アンケートの一部を公表し「生徒数人からいじめを受けていた」ことを認めた。

だが、今年2月に男子生徒の両親が「自殺はいじめが原因」として市などに損害賠償を求め提訴すると、市側は「いじめと自殺との因果関係はない」と争う姿勢を見せた。

7月になり、昨年10月のアンケートで15人が「男子生徒が自殺の練習をさせられていた」と回答していたことが発覚。ここから次々に、いじめの新事実が明らかになっていく。

市教委はこれらを公表しなかった理由を「いじめた側にも人権がある」などと語った。

このような市側の対応に対して抗議が殺到。ついに警察が動いた。県警幹部は「市教委の調査に一抹の不信があった」と異例の強制捜査に踏み切った理由を説明する。