7日付英紙フィナンシャル・タイムズ週末版が大きく、「Japan's ice age」(日本の氷河期)と題するレポートを載せている。日本の若い世代に幸福感についてインタビューしたものだが、今の日本をどう伝えているのか?

インタビューに答えた5人の日本人のうち、最初の2人を紹介した部分から抜粋。

  • かつて日本では、いい大学を出て会社に入れば定年までいられるのが普通で、人生設計ができた。今やその安定は消え、若い世代は非正規雇用、パートタイム、派遣社員などが多い。際立って平等性が強い社会という日本の自己イメージは傷つき、貧富の格差が広がっている。
  • シモツボ・クミコ(37)は筑波大学卒業後、就職活動に失敗。彼女は流暢な英語で話す。「いったん順調コースから外れると優秀な人間でないと評価されてしまうのは、社会的差別だと思う。バブルの頃の若い世代がうらやましい。今の若い日本人は経済成長を経験していないから夢がしぼむ一方」
  • もっと楽観的な若者もいる。昨年『絶望の国の幸福な若者たち』を出版した古市憲寿(27)は言う。「日本の若い世代はかつてなく幸福。メディアは彼らが貧しく絶望していて不幸だと描くが、調査によれば今の若い世代は73パーセントが生活に満足していて、1950年以降で最高です」
  • 古市によれば若い世代が幸福を感じている理由は、高度成長期と違って、将来の満足のため今を犠牲にする必要がないからだ。「かつての世代は会社のため、将来のため、誰かのために働いた。今は職業の安定度は低いが、若い世代は自分のために働き、自分の責任で結果を手にすることができる」

シモツボのインタビュー部分の前後には、日本のマスコミが描くステレオタイプの格差社会論の影響を感じる。一方、「自分のために働けるから幸福」という古市の言葉も、それが本物の幸せかと考えるといささか寂しい。日本に誇りを持ち、精神的な幸福について海外メディアに英語で堂々と語れる若者が出てほしい。(司)

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2012年1月3日付本欄 日本とブータンの幸せ感覚 スピリチュアル面の違い

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3634