NHKはこのほど、不妊の原因の約半数が「卵子の老化」であることが分かったと報じた。これによると、女性は30代半ば以降、卵子の質が低下し、妊娠しづらくなっているケースが47%にのぼったという(全国の専門医療機関約300の不妊治療患者8千人を対象に調査)。

「排卵がある限り、何歳になっても出産はできる」と考えている人は多いかもしれない。年齢と共に卵子が老化するという事実はあまり知られておらず、それが産みたいのに産めない人を増やし、結果的に少子化の原因にもなっている。

30代後半から40代になって、不妊で病院へ行って初めて、卵子の老化で妊娠しづらくなっている事実を知る人が多い。

体外受精の成功率は35歳で16.8%、40歳で8.1%、45歳では0.5%にまで下がる。医療の効率も落ちてくることを意味する。40歳で体外受精できるのはわずか1割という数字に、驚く女性は多いことだろう。

卵子は生まれつき持っているもので、精子と違い新しく作ることはできない。高齢になると卵子の数が減少し、質が低下してくるという。

卵子は卵胞の中に入っているが、卵胞の中に卵子がない「カラ卵胞」の人や、体外受精した後に卵子の分裂が停止してしまう人もいるということだった。これらは若い人には見られない。人間も生物である以上、出産に適した時期というのはあるはずだ。

女性が仕事を優先している間に、高齢になってしまうということはよくあることだ。しかし卵子は老化するという事実を知っていれば、人生設計も変わってくることだろう。フランスでは「卵子の老化」を教科書やパンフレット、新聞、雑誌等で国民に知らせているという。

日本でもこうした知識を普及するとともに、産むのに適した時期に産める環境の整備も重要だ。(静)

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