ベトナム政府は6月21日、西沙・南沙諸島の領有を明記した海洋法を採択。それに対して中国政府は民政省が21日、南シナ海の西沙・南沙・中沙の3諸島を海南省の三沙市にすると発表した。

現在、南シナ海は文字通り"大荒れ"だ。

西沙・南沙諸島では中国、台湾、フィリピン、ベトナム、マレーシア、ブルネイの6カ国が「領有」を主張しており、各国間で実効支配の誇示と勢力争いが激化している。

この海域は、石油その他の資源を運ぶために各国の艦船が行き交う場所であり、世界経済にとって安全の確保が求められる。それは日本も同様で、黄海や東シナ海だけでなく、南シナ海の安全にも責任があると言っていい。

この海域は、大陸やその周辺の島々に囲まれた「辺縁海」であるために航路が限定され、周辺各国が協力し合わなければならない。しかし、各国が対艦ミサイル、高速艦船、潜水艦などかなりの海上兵力を投入し、潜在的な紛争の発火点となっている。

日本は海上保安庁のマラッカ海峡などでの警備実績が東南アジア諸国などから歓迎されているが、自衛隊としても、将来的に南シナ海の警備に責任を負っていくのは当然の流れだろう。本誌は日本の空母保有を主張しているが、黄海や東シナ海だけでなく、南シナ海にも空母機動艦隊群(空母打撃群)を配備することは、アジアの大国としての責任の範囲内と言える。(弥)

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2009年7月号記事 中国の空母建造に日本の備えはあるか

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