週刊誌「サンデー毎日」(4月22日号)が、「千葉県長生村で勃発した 幸福の科学大学建設への疑心暗鬼」と題する、宗教法人への課税を誘導するかのような記事を掲載した。

これは、「宗教と金」をテーマに多くの文章を書いているフリージャーナリスト・山田直樹氏の署名記事だ。山田氏は冒頭で、増税議論が起こる中、「宗教法人からなぜ税金を取らないのか」と問題提起。2015年4月開校を目指す、千葉県長生村の「幸福の科学大学・建設予定地」をやり玉にあげる。

記事が取り上げているのは、幸福の科学大学の建設予定地について、長生村村議の一部が固定資産税の課税を主張している問題。この土地は、4月11日現在、宗教法人・幸福の科学が所有し、境内地として認定されているため、税法に基づき固定資産税はかかっていない。

記事では、「(宗教の)境内地としての使用実態がない」ことを理由に課税すべきだと主張する人の意見を紹介しているが、幸福の科学グループ広報局によると、同地は実際に「経行(歩行禅)」などの宗教修行に用いられている事実があり、境内地として、法律上、課税はできない。

ただ、4月末、この土地の所有権は学校法人・幸福の科学学園に移転される予定だ。土地移転がこの時期になったのは、大学の建物に関する基本計画が決まり、これから環境アセスなどの土地調査をスタートさせるためだ。基本的には学校法人が所有する学校施設にも固定資産税はかからないが、開学直前に大学の建物ができあがるまでは非課税規定は適用されないため、所有権が移転される結果として、来年以降、幸福の科学学園は税金を納めることになる。

宗教法人が2008年に土地を取得した段階で、大学を開学する計画は長生村に伝えており、法律的な手続きも適正に行われている。本来、問題とされるべき点は何もない。

幸福の科学側に何の落ち度もないためか、今回の記事は論旨不明瞭で何を主張したいのかがよく分からないものになっている。単なる印象操作レベルの記事と言わざるをえない。

記事の中では、苦しまぎれに、土地が宗教法人の所有であった数年間の非課税扱いについて問題提起しているが、もし時期を遡って課税しようとする意図があるなら大問題だ。新たな立法や行政判断で遡及効(法律などが施行以前に遡って効果を持つこと)を認めるようなことにでもなれば、「法の下の自由」に反し、議会制民主主義の時代を飛び越して、悪王の専制政治に逆戻りである。

この一事を見るだけでも、宗教課税を主張する人たちの法律センスのなさがよく分かるというものだ。(只)

【関連記事】

2012年4月3日付本欄 朝日が、財務省・国税庁の「ちょうちん記事」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=4084

2011年10月号記事 ガチンコ論争「お答え」編インタビュー―(1)―200号記念総力特集「宗教」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2711

2011年10月号記事 ガチンコ論争「お答え」編インタビュー―(2)―200号記念総力特集「宗教」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=2710