日本が中国の自治区になった姿を描く小説が2月に発刊され、話題となっている。

叶泉著『お稲荷さんパワード』(産業編集センター)という本で、同じ著者のボイルドエッグズ新人賞受賞作『お稲荷さんが通る』(2009年)の続編だ。百年後の京都を舞台に、たくましく生きる日本人少女を描いている。

このシリーズの作中では日本という国はもはや存在しない。主人公が住むのは「中華人民共和国、日本省特別行政自治区」。中国が世界を牽引する超大国となったことで日本は中国に合併された。標準語は北京語。「日本族」は最下層の民族とされ、一軒家には住めないのが普通だ。日本女性は蔑視されており、主人公自身、10代の娼婦である。

もちろん架空の物語だ。しかし、現実の世界でも中国政府は3月3日、沖縄県の尖閣諸島周辺の島々に中国語の名称をつけたと発表、同諸島を中国固有の領土とする趣旨の談話を出した。

作中では京都・稲荷山の名所だった千本鳥居は、悲惨なことになっている。鳥居の残骸でできた小さな山となっているのだ。中国との合併が決まる1年ほど前に、日本人による「廃神毀釈」運動が起き、神社と日本特有の文化は徹底破壊されたのだった。

今から40年前に明らかになった中国の対日工作計画とされる「日本解放第二期工作要綱」は、天皇の処刑にも言及している。日本が中国に呑み込まれれば、「天皇制の廃止」「日本神道の廃止」という未来も、小説だけの絵空事とは言いきれなくなるだろう。

「どうして日本族は廃神毀釈なんて運動を起こしたのかな? ずっと信じてきた神さまをどうして捨てたりしたのかな?」。霊能力を持つ主人公の少女は、作中でこう問いかける。この言葉が、未来の日本人の本当の嘆きにならないことを願ってやまない。(賀)

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2010年11月号記事  201X年日本再占領!? 今度は中国だ

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=74