26日付東京新聞が北朝鮮の後継者、金正恩氏が1月に党幹部に対して「開放という言葉は使わない方がよい」「先軍政治を引き続き堅持し(中略)、独特な社会主義を最後まで固守しなければならないのではないか」と語っていたと報じている。
これまで年頭の社説などで明らかになっていたことではあるが、改めて金正恩氏が北朝鮮の閉鎖社会を維持し、軍事優先の国家運営を続けることが鮮明になった格好だ。
一方で気になるのが、金正恩氏が本当に後継者として実権を握っているかどうか。
12月末に「朝鮮人民軍最高司令官」に就任したと発表されたが、決定したのは朝鮮労働党の政治局会議だった。国家の役職を党が決定したというのは正規の手続きではない。
北朝鮮のトップとしては、「党総書記」「党中央軍事委員会委員長」「国防委員長」にも就任している必要があるが、まだできていない。つまり、軍の最高ポストには非正規の手続きで一応就いてはいるが、党と国家のポストは何も得ていないということだ。
4月の党代表者会開催が予告されているので、そこで党総書記や党中央軍事委員会委員長に就任することになるのかもしれない。同じ4月には毎年、最高人民会議(北朝鮮の国会)が開かれ、国防委員長に就任するかもしれない。
本当に4月に後継者としての地位を固められるのかどうか。これが今後2カ月ほどの注目点だ。権力継承できなければ、軍や党、政府官僚組織の対立や内紛が激しくなるだろうし、うまく継承できれば、金正恩氏が核実験やミサイル発射などの挑発行為に出てくる可能性が高い。
かたや日本は、消費税増税法案や予算関連法案の対応をめぐって、「4月解散、5月総選挙」というシナリオがささやかれている。4月以降、半島情勢が不安定化すれば、消費税問題など、あっという間に吹っ飛んでしまう。(織)
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