北朝鮮の要人を乗せたヘリが墜落し、5人が死亡したことをデイリーNK(ネット)が、消息筋の話として報じている。

記事によると、故・金正日総書記の誕生日(2月16日)を控えた14日、金奉哲・商業相や平安北道商業局長など5人は、人民に特別配給する物資を積んだヘリコプターに乗って、黄海に浮かぶスウン島に向かった。だが、着陸の際に、ヘリが風に煽られて岩にぶつかり、墜落。同乗のカメラマンは脱出したが、金商業相たちは脱出できず、機体が爆発し、死亡したという。

北朝鮮の朝鮮中央通信は15日に、「敬愛する金正恩同志は、孤島の子供たちも、陸地の子供たちと同じく贈り物を受け取るようにしようと、飛行機を飛ばすよう措置を講じた」などと宣伝していたが、事故後は沈黙を守っている。

死亡した金商業相は昨年9月、訪中して胡錦濤・国家主席と会談した崔永林首相に同行している。ちなみに、崔永林首相は、昨年12月の金総書記の葬儀・告別式のとき、名簿順位が金正恩氏、金永南・最高人民会議常任委員会委員長に続き、3位の人物である。

ここからは推測の域を出ないが、今回、崔首相に近い金商業相が亡くなったことを、単なる事故と受け止めていいのだろうか。北朝鮮内部で激化する権力闘争の氷山の一角、と見ることはできないか。

本誌3月号でも指摘したが、金正恩氏は実績も経験もなく、どれだけ国内をまとめられるかは未知数だ。内部では「金一族、党、軍」「正恩派、正男派、正哲派」などの派閥が入り乱れて権力闘争を繰り広げているとも言われ、体制は一枚岩ではない。

北朝鮮の「終わりの始まり」は、目前に迫っているのかもしれない。(居)

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2012年3月号記事 特集「2012 北朝鮮を崩壊させよ 民族分断の悲劇に終止符を」

http://www.the-liberty.com/article.php?item_id=3736

【関連書籍】

幸福の科学出版ホームページ 『北朝鮮 ―終わりの始まり― 霊的真実の衝撃』(大川隆法著)

http://www.irhpress.co.jp/detail/html/H7015.html