10月7日に大統領選挙を控えるベネズエラで12日、野党連合が対立候補を一本化するための予備選挙を行い、中部ミランダ州知事のカプリレス氏が、有効投票数の6割を獲得する大差で勝利を収めた。

ベネズエラでは1999年に就任したチャベス大統領が、社会主義政策と大統領の個人崇拝を進めてきた。

住宅や家電の供給といった大規模なバラマキ政策は、貧困層を中心に依然として支持を集めているが、支持率は60%ほどまで低下している。インフレ率は約25%を示している上、全国で年2万人近くの人が殺人事件の犠牲になるなど、治安悪化は深刻である。

今回の予備選では有効投票数が有権者全体の16%にあたる約300万に達し、チャベス政権への不満が根強いことを印象づけた。

39歳のカプリレス氏は、バラマキ政策への批判を抑えたソフト路線で、治安の問題などに取り組み、支持を訴える構えだ。

これまで結束できなかった野党側はこれで統一候補を立てるのに成功したわけだが、チャベス氏は政府の資金力をバックにバラマキ政策を強化して有権者を取り込もうとしている。

チャベス大統領は他の中南米諸国も巻き込んで、反米・社会主義路線を取ってきたが、10月の大統領選はその行方を占う選挙になる。

近年では、ブラジルが経済成長のモデルとして扱われたり、キューバが市場経済の導入を進める改革を打ち出すなど、中南米にも自由主義へと徐々に向かう変化の動きが見られる。中東を席巻した自由の風が、民主的なかたちでベネズエラにも訪れることを望みたい。

【関連記事】

2011年6月30日付本欄 ベネズエラ  チャベス大統領重病説で南米左派の結束は揺らぐか

http://the-liberty.com/article.php?item_id=2309