今秋に中国国家主席に就任する習近平国家副主席が13日からアメリカを公式訪問する。

習近平氏が2期務めれば2022年まで中国の最高指導者であり続ける。アメリカの側も今年11月に大統領選があるが、共和党の候補者選びで飛び抜けた実力者がおらず、オバマ大統領の再選の可能性が高まっている情勢。今回のオバマ・習近平会談は、2010年代の世界の行方を占うものとなる。

米中首脳会談のテーマは、大きく3点挙げられる。

(1)中国による人民元の為替レートの操作や、知的財産権の侵害など、経済・貿易問題。

(2)南シナ海などでの中国が領有権の主張を強め、天然資源と軍事的緩衝地帯を確保しようとしている安全保障問題。アメリカや日本その他の国の航行の自由が侵されている。米中が対立するイラン、シリア情勢もテーマ。

(3)中国国内での人権弾圧問題。習近平体制への移行に向け、思想・言論統制を強化しており、大学生への思想統制、民主活動家の弾圧、チベットなどでの宗教統制を強めている。

これらのうち、協議の中心が経済問題に絞られれば、今後、習近平氏はアメリカに対して優位に立つことができる。

習近平氏にとって、南シナ海や東シナ海への海洋進出や国内の思想的締め付けは極めて優先順位が高く、アメリカ大統領にできる限り口をはさませたくないからだ。

オバマ大統領がそれを押し切ってクギを刺せるかどうかが、2010年代の米中関係を決めることになる。(織)

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