今年に入ってユーロが下落している。

5日には1ユーロ98円46銭と2000年以来、11年ぶりの安値をつけた。6日現在も98円台で推移している。

その背景にあるのは、ユーロ圏諸国で国債の大量償還や入札などが予定されており、資金繰りが綱渡りになっていることだ。

6日付日本経済新聞によると、ユーロ圏全体で1~3月に約2400億ユーロ(約24兆円)の国債発行が予想されている。これらがすべて予定通り消化できるかどうかが注目されている。最近のユーロ安は、国債消化に不安が生じている現われだろう。

昨年12月にEU(欧州連合)の発表した危機対策では、市場の十分な信認が得られていない。ギリシャやスペイン、イタリアなどでも財政再建に向けて増税や社会保障費の見直しなどの策を打ち出しているが、十分な信頼を回復していない。

融資額を増やしても、保証枠を増やしても、銀行の資本増強を打ち出しても、それでも止まらないユーロ安。これは、支援策そのものへの「不信」というより、ユーロそのものへの「不信」を映している可能性もある。

現在17カ国が参加するユーロだが、そろそろ「リストラ」の議論を始めるべきなのかもしれない。(村)

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2012年2月号記事 EU首脳会議 財政規律強化で崩壊のレールは敷かれた "Newsダイジェスト"

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