昨年末に金正日総書記が死去し、北朝鮮の後継体制がどうなるか、世界的な注目が集まっている。
日本の大手紙などは、北朝鮮の暴走を防ぎ、核・ミサイルの脅威をなくすために米韓中露などとの国際的な連携を強めるべきだ、という論評や社説にとどまっている。要は、北朝鮮が金正恩体制になっても、ほとんど現状維持で構わないというスタンスだ。
一方、欧米のメディアの中には、はっきりと体制崩壊へと圧力をかけるべきだという主張も出始めている。
英エコノミスト誌は最新号で、「地球上で最悪の国の体制転換を望むだけでなく、計画されるべきだ」と書いている。以下要点。
- (金正日という)独裁者は北朝鮮を強制収容所として運営した。金正日は現代のどんな独裁者よりも苦痛と貧困を広げ、ポルポト以来誰よりも収容所の中や栄養失調・欠乏によって国民を殺してきた。北朝鮮は韓国の栄養の行き届いた人と比べて平均3インチ(約8センチ)も小さい。20人に1人が強制収容所にとらわれ、いったん政治犯とされれば一族に強制労働が課されるが、金正日は今や責任を問われない。
- 金正日は国民の苦痛に対して病的なくらい無関心だった。彼の見方では人生は心地よいものだ。彼はコニャックやうまいチーズや寿司を楽しんだ。また、国民に権力を行使したり、核による挑発や他国から援助を搾り取ることも楽しんだ。
- 金正日は思いのままに韓国の監督を拉致し、映画をつくった。国全体が映画のセットであり、彼は神の役を演じて国民にあがめさせた。
- 北朝鮮の変化は避けられない。
- 北朝鮮国民は韓国のドラマをDVDで見ており、北朝鮮の指導者が「韓国のほうが貧しく、国民を抑圧している」と言っているのはウソだと知っている。これらは逆戻りできない変化であり、金体制の存続を脅かしている。
- 残念であるのは、中国だけでなく、新たな世界的危機におびえるアメリカ、若い韓国人にとっては外国である北朝鮮との統一コストを恐れる韓国、統一朝鮮を脅威と見る日本が、血に飢えた金体制を支持していることだ。しかし金一族はいつまでも生き残ることができない。早く金一族を取り除くための(国際的な)対話を始めるほど、この地域の安定のためだけでなく、抑圧され放置された北朝鮮国民のためにも、より良いことである。
アメリカのウォールストリート・ジャーナル紙も12月25日付の社説で、北朝鮮を体制崩壊へと導くべきだと主張している。
「中国がどんな選択をするにせよ、アメリカは金王朝の存続に加担する必要はない」「北朝鮮が核開発計画を放棄したり、これまで以上に国を開くのを待つということだ。それまで西側は北朝鮮への制裁など圧力を維持し、北朝鮮国民の解放を求めるべきである」
金正日死去は北朝鮮体制崩壊のチャンスだ。ここを逃せば、20年、30年と東アジアの冷戦が続くことになる。(織)
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