2012年2月号記事

バブルだと言われ続けた中国経済だが、いよいよ「崩壊」の時期が近づいたようだ。その予兆があちこちで報告されている。

まず、中国経済を引っ張ってきた不動産。北京や上海など大都市圏の住宅価格は10月だけで20~40%も下落した。

この暴落の原因は、中国政府がインフレ抑制のために実施してきた金融引き締め政策にある。2011年だけで3回にわたって政策金利を引き上げ、物価の上昇を抑えにかかった。しかし、物価は上がる一方でインフレは収まる気配はない。

不動産の売れ残りも深刻だ。北京の不動産在庫を消化するのに今後1年半以上もかかり、武漢と杭州でも2年分の在庫を抱えているという。

中国では、2009年の 不動産購買者の約8割が「住むためではなく、投資目的で不動産を買った」という。 その人々が「不動産価格はもう上がらない」と見て、売りに出る動きが本格的になれば、一気に「不動産バブル」は崩壊する。

すでに一度、2008年のリーマンショックの時に、中国経済は株価が6割下落し、不動産も冷え込み、バブル崩壊かと思われた。

だが、57兆円に上る財政出動で、大量に人民元を刷り、銀行に集中豪雨的な融資拡大を進め、不動産投資を支援し、再び不動産投資ブームとなった。

つまり、 銀行からの無制限な融資拡大によって支えられていた不動産投資バブル なのだ。

工業団地が次々とゴーストタウン化

中国の輸出を支えてきた製造業も失速している。12月1日発表された製造業購買担当者景況指数が49・0と、2年9カ月ぶりに景況判断の分かれ目となる「50」を割り込んだ。

特に中国の輸出の4分の1を占める広東省は深刻だ。同省に工場を抱える約2万社の香港企業が経営危機に陥っている。工業団地が丸ごとゴーストタウン化するケースも出始めた。

中国の製造業は、人海戦術で安価に製品を造っていたのが、 人件費が上がるなどで前提条件が崩れたところに、最大の輸出先だった欧州の信用不安が追い打ちをかけた のだ。

また、家電業界も強い逆風が吹いている。2008年のリーマンショック後の国内消費を支えた政府の購入補助金が一部地域で11月末に打ち切られ、大手メーカーは減産に入った。

新車販売台数も10月は5カ月ぶりのマイナスとなった。

このように、すでに中国の「バブル崩壊」は、あちこちで始まっている。中国のバブル崩壊によって、共産党一党独裁体制にどのようなインパクトを与えるのか。中国は今、大きな岐路に立とうとしている。