日経新聞の23日付朝刊で、厚生労働省が、麻酔注射や投薬などの診療行為を看護師も行える「特定看護師」制度を創設する方針で、法改正に着手すると伝えた。
高齢化に伴って医療の需要が高まるなか、絶対数の不足や僻地の医師不足、小児科や救急など診療科別の不足などが問題になっている。医師30万人弱に対して看護師は約135万人(准看護師を含む)おり、この医療人材を活用しようという狙いだ。
これに対して、厚生労働省は女性医師の現場復帰支援などを行っているが、医療行為を医師だけではなく、看護師もできるようにする新制度は、本格的な医師不足対策として評価できるものだ。
看護師が可能な医療行為としては、救急医療現場での患者の重傷度の評価、X線検査などの実施判断などが上がっている。5年以上の実務経験を持つ看護師で、国家試験に合格すれば「特定看護師」となる仕組みを検討しているという。
実は看護師だけではなく、薬剤師も一部医療行為を担うようになっている。副作用の早期発見をするため、聴診器を使って患者の体調を把握する医療行為について2010年から認められるようになった。
ただ、根本的な医師不足対策は、医学部定員の大幅増加だろう。新しく医学部をつくろうとすると、その地元の医師会が反対する構図ができあがっている。それが大きな「参入規制」になっていて、医師の人件費が上がる一方、医師不足も深刻になっている。
医学部定員を3倍ぐらいは増やし、医師会の“利権”を崩すことが最重要の改革だ。(織)