清朝を倒した辛亥革命から100年となった10日、台湾では「中華民国建国100年」を祝う式典や大規模な軍事パレードが開催された。馬英九総統は、革命の指導者・孫文の思想を引き合いに中国に民主化を呼びかけた。
産経新聞ネットニュースなどによると、式典で馬総統は、「国父(孫文)の建国の理想は、自由で民主的で、(国民が)等しく豊かな国家の樹立」とし、その理想は中国で実現せず、台湾で実現したと強調。「大陸(中国)は、この方向(孫文の理想)に向かって勇敢に進むべきだ」と呼びかけた。
また、4年ぶりに行われた軍事パレードは馬政権で初めて。F16戦闘機など軍用機71機、装甲車など車両168台、陸海空3軍の将兵約1800人が参加し、過去最大規模。独自開発した移動式の超音速対艦ミサイル「雄風3型(空母キラー)」や無人機も披露したという。
9日には中国・北京でも辛亥革命100年を祝う式典が開かれたが、中台の式典開催までには、中国が台湾に対し、共同開催を呼びかけ、それを馬氏が「別々にやればいい」と拒否した経緯もある。
これだけを見れば、馬氏は対中政策で強硬姿勢と受け取れるが、9日の式典では、胡錦濤国家主席が台湾に平和的な統一を呼びかけ、来年1月の総統選で再選を目指す馬氏を“援護射撃”。中台間が微妙なバランスで成り立っていることをうかがわせる。
馬氏の強硬姿勢を選挙用のポーズに終わらせないためにも、日本は米国などとスクラムを組んで、何としても台湾を民主主義国家の側に留まらせる必要がある。(格)
【参考記事】
2011年10月10日付本欄
胡錦濤主席が「中台平和統一」呼びかけ 1月の台湾総統選挙で馬氏再選を援護