EU(欧州連合)の欧州委員会のバローゾ委員長が6日、欧州の金融機関への公的資金注入を各国に求めたと明かした。

欧州では、ギリシャのデフォルト(債務不履行)懸念が強まっており、ギリシャ国債を保有する欧州の金融機関に経営不安が生じないよう、資金注入をすべきだという議論が行われてきた。

資本注入の規模については、IMF(国際通貨基金)は1000億~2000億ユーロが必要となると見ている。

これまではギリシャのデフォルトを防ぐために、昨年5月にユーロ加盟国で1100億ユーロの支援をすることを決定し、今年7月にはさらに1090億ユーロの追加支援を合意していた。しかし、追加支援がどこまで必要になるのか、底なし沼を見るような不安を市場に与えていた。

今回のバローゾ委員長の発言は、改めて、ギリシャの債務問題の深刻さを裏づけるとともに、金融不安が拡大しないよう、現実的な対応策を採り始めたことを意味する。

実際に、欧州の株式市場は、金融不安が和らぐと見て、軒並み上昇した。ユーロも買われて、一時1ユーロ103円近くまで上昇している。

これで、仮にギリシャがデフォルトに陥っても、その影響は限定される可能性が出てきた。

しかし、その後のギリシャ経済については政治リスクが小さくない。少なくとも財政については、ユーロ圏による管理下に置かれることになるだろうが、公務員の給与などの歳出カットで大規模デモを起こす国柄で、国民はデフォルト後の経済運営をどこまで冷静に受け止めることができるか。

そもそもギリシャを支援するという決断が正しかったのか。さらには、ユーロという通貨そのものは本当に有効なのか。今のところ、そんな根源的な疑問は拭えないままだ。(村)