中米エル・サルバドルは、人口の約39%が貧困層という貧しい国であり、犯罪発生率も非常に高い。
この国で9月28日、女性の権利を求める13の機関が集結し、大統領に対し人工妊娠中絶の合法化を求めるデモを起こした。
エル・サルバドルは国教がカトリックのため人工妊娠中絶は禁止されている。1997年までは「母体に危険が伴う場合」「胎児に障害や健康上の問題が確認された場合」「強姦など性犯罪による妊娠の場合」のみ人工妊娠中絶を認めていた。しかし1998年、政府は一切の人口妊娠中絶を犯罪と認定することを法律に定めた。中絶をした女性は刑務所に送られ、最高8年の刑に服さねばならない。もちろん実施した医者もライセンスを失う。そのため、中絶を希望して病院へ来た女性を医者が警察へ突き出すケースも多いという。彼女たちは刑務所内で子供を生むことになる。
新聞記者のエスメラルダ・カブレラは、こうした現状が未だ続くことを不当とし、国民人権委員会に訴えた。しかし昨年、マウリシオ・フネス大統領は強姦などを含む一切の人工中絶を許さないことを改めて表明し、カトリック教会から賞賛を得た。今回デモを起こした機関は世俗的立場を支持し、カトリック教聖職者による政治への口出しの禁止を強く求めた。
政教一致を全否定することには同調できないが、形骸化した宗教はいま、霊的人生観や、中絶がなぜいけないのかを教えることができない状態だ。それでは国民が納得できず、宗教と政治を切り離すことを望むのも無理はない。一方で、人工妊娠中絶の合法化は安易な中絶を増やす危険性もはらんでいる。だからこそ、カトリックを国教とする多くの国にとって、霊的人生観を正しく教える宗教が必要なのではないだろうか。(岸)
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