アメリカ政府は今後10年間で国防費を約27兆円削ることを決め、11月下旬にはさらに約46兆円に増額する可能性が出ている。
その影響が早くも日本に及んでいる。15日付読売新聞は、アメリカ政府が沖縄駐留海兵隊のグアム移転について見直し、戦闘部隊を大幅に増やす方針だと伝えた。今まで司令部移転が中心だったが、家族住宅なども整備が必要なため、移転費用の少ない独身者が大部分の戦闘部隊に変更するのだという。
これに関連し、外交評論家の岡崎久彦氏は15日付産経新聞の「正論」欄で、「グアム移転費は東アジア防衛に」と提唱した。「(アメリカの)軍事費削減で最も懸念されるのは、西太平洋における中国の脅威の増大に対して十分な対応措置が取れないことにある。それは国務、国防両長官の発言の中にはっきりと読み取れる。この際、グアム移転に想定されている巨額の経費は、東アジア防衛に転用されるべきであり、日本政府に期待している膨大な移転経費は、東アジアの日米同盟の強化に転用するよう、日本政府に要求すべきである」
確かに沖縄海兵隊のグアム移転を決めた2003年の時点では、まだこれほど中国の軍拡と海洋進出が認識されていなかった。中国がアメリカの空母を台湾や沖縄近海から排除できるような対艦ミサイルの開発を進め、空母の保有が間近になった今、沖縄米軍のあり方を新たな視点で強化すべきだろう。岡崎氏の提言を生かしていきたいものだ。(織)