2011年10月号記事
中国外務省の2011年版外交白書で、昨年9月の尖閣諸島沖での漁船衝突事件について、「日本が中国の領土、主権と中国人の人権を侵犯した」と記述していることが分かった。その上で、日本側に謝罪と賠償を求めているという。
言うまでもなく、尖閣諸島は日本の領土である。しかし、この常識は、「言った者勝ち」文化の中国には通用しない。毅然とした態度で応じる必要がある。当然、謝罪にも賠償にも応じる必要はない。
今回の白書では、尖閣問題や南シナ海問題を初めて独立した項目として扱っている。これは、中国が海洋権益の確保を重要課題として扱い始めたことを意味する。日本側も、単に「まあまあ」となだめて済ませるのではなく、原発事故でエネルギー供給に不安が生じている中、国家として明確な資源・エネルギー戦略を持った上で、海洋権益をどう守るかを考える必要があるだろう。
報道によれば、日本の外務省関係者は「尖閣問題では認識の違いが大きい」と主張し、「中国の拡張傾向にも引き続き警戒していく」と述べたという(8月13日付日本経済新聞)。さすがに、いくら左派政権と言えども、単純に押し込まれることはないようだが、引き続き警戒が必要だ。