《ニュース》

アフリカのコンゴ民主共和国で、中国企業の洛陽欒川モリブデン業集団CMOCグループが所有するコバルト処理施設から排出された二酸化硫黄による公害で、現地の従業員や周辺住民が、吐血や流産、先天性異常などの症状を訴えていたことが明らかになりました。アメリカの環境調査機関(EIA)が9日に発表しました。

《詳細》

コバルトは電気自動車(EV)のバッテリー等に使われており、近年、需要が急拡大しています。

コンゴは世界のコバルト供給の70%以上を占めています。なかでも中国企業CMOCが所有する鉱山の生産が、世界のコバルト供給の約半分を占めています。

EIAの調査によると、CMOCが所有するテンケ・フングルメ鉱山が2023年に操業を開始して以来、地域住民に、繰り返し鼻血が出る症状や吐血、咳、胸の痛みなどに加え、流産やDNAの損傷による先天性異常といった症状が、「驚くべき割合」で急増しているといいます。

また同調査で、コバルトの加工過程で発生する有毒ガスである二酸化硫黄の濃度がWHO(世界保健機関)の基準値を大幅に上回っていたことが判明。工場管理者は、施設内の二酸化硫黄レベルが高くなりすぎると、定期的に二酸化硫黄を大気中に放出していたといいます。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの取材によると、処理施設では従業員の安全よりも生産が優先されていたといいます。例えば、操業を停止すれば、工場管理者から処罰を受けるなどの圧力があったことから、施設内の二酸化硫黄の濃度が上昇して警報が鳴っても稼働を続け、保護具を着用していない従業員が気を失うこともあったことが指摘されています(10日付電子版)。

CMOCのコンゴ鉱山で生産されたコバルトのほとんどは、中国と欧州に送られて加工された後、欧州やアメリカに輸出されています。EIAによると、フォルクスワーゲンやBMW、メルセデスベンツ、プジョーを含む主要自動車メーカーが、これらのコバルトを使用しています。

そうした中、トランプ米政権は11日、「強制労働」と「過剰生産」が疑われる製品を輸出する国に対し、通商法301条に基づいて新たな関税を課すための調査を開始しました(関連記事:「トランプ関税で違憲判決出るも、大方の予想通り『大勢に影響なし』」)。調査対象は、中国や欧州連合(EU)、日本など数十カ国に及びます。今後、強制労働によって製造された商品の販売や輸入を禁止していない国に対する、関税引き上げにつながる可能性があります。

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