2026年4月号記事

矢野義昭氏インタビュー

なぜ日本には核保有が必要なのか

「核ミサイル搭載原子力潜水艦の保有」を主張する安全保障の専門家に、その必要性を聞いた。

元陸上自衛隊
小平学校副校長

矢野 義昭


(やの・よしあき)1950年、大阪府生まれ。京都大学卒業後、一般幹部候補生として陸上自衛隊に入隊し、第1師団副師団長兼練馬駐屯地司令などを歴任。元陸将補。現在、(財)日本安全保障フォーラム会長、防衛法学会理事を務める。近著は『日本の真の国防4条件』(月待舎)。
日本の真の国防4条件

抑止の成立条件は「力と意志、伝達」の3要素です。「相手がこちらに対して好ましくない行動を取った場合、こちらも力を行使して相手に損害を与える」という、その恐怖によって行動を思いとどまらせるのが抑止の本質。その意味で、まず力がなければならず、それを行使する意志も必要で、かつ相手がそのことを知っていなければなりません(伝達)。

力については、核兵器は途方もない破壊力を持っています。特に水爆の場合、人口密度の高い大都市に落とされれば、一発で数百万人の死傷者が出ると言われています。これほどの破壊力は、将来の見通しをもっても、他の兵器ではあり得ません。つまり核兵器の本質的な抑止力というのは、「相手国の住民を人質に取る」ということなのです。

日本は戦後、特に核兵器不拡散条約を批准して以降、アメリカの核の傘(拡大核抑止)に依存するという政策をとってきました。「このままアメリカに依存していればいい」という考え方は当然あります。

 
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アメリカの核の傘にはもう頼れない

必要なのは首相の決断のみ