国際政治学者

佐久間 拓真

(ペンネーム)
国際政治の中でも特に米中関係、インド太平洋の安全保障、中国情勢を専門にし、この分野で講演や執筆活動、現地調査などを行う。

アフリカ南部、豊かな銅資源を持つザンビアは、中国が推進する巨大経済圏構想「一帯一路」が現地にもたらす光と影を最も鮮烈に映し出す最前線である。

かつて「全天候型の友好国」として緊密な関係を築いた両国だが、現在、ザンビア国民の間に渦巻く中国への感情は、初期の経済的期待から、主権侵害への恐怖と根深い憎悪へと決定的に変質しつつある。これは、単なる外交問題ではなく、チャイナリスクが内包する経済的侵略の新たな側面を示している。

銅山地帯に蓄積した「被支配者の抵抗」

ザンビア経済の生命線は、世界有数の銅埋蔵量を誇るカッパーベルト(銅山地帯)にある。冷戦終結後、欧米資本が撤退した後の鉱山利権を、中国企業は戦略的に、そして安価に買い叩いて支配権を確立した。しかし、これに伴い、劣悪な労働環境と極端に低い賃金を巡る現地労働者の不満は、長年にわたりマグマのように蓄積されてきた。

その不満が、血を流す暴力として噴出した象徴的な事例が、コラム炭鉱で発生した。賃上げを要求する労働者に対し、中国人管理職が発砲して多数の負傷者を出した事件や、逆に、労働環境に激高した労働者が中国人管理職を殺害した事件は、単なる労使紛争の枠を超越した出来事として、現地社会に深く刻まれている。

国民の意識の中で、この軋轢は「被支配者」による「支配者」への抵抗という、植民地時代を想起させる歴史的な構図と重ねて認識されるようになった。

膨張する債務と「国乗っ取り」への恐怖