《本記事のポイント》
- 北朝鮮が原子力潜水艦を保有することの危険性
- ロシア・中国・北朝鮮の接近を招いたバイデン元大統領の失政
- 北朝鮮 国家消滅のシナリオ
ごくありふれた一日になるはずだったある日、出所不明の一発の弾道ミサイルが突然アメリカに向けて発射される。アメリカに壊滅的な打撃を与える可能性を秘めたそのミサイルは、やがて、北朝鮮が秘密に所有した原子力潜水艦から発射され、同時に、アメリカの偵察衛星がハッキングされていた可能性が浮かび上がる。
中国、ロシア、北朝鮮の連携による周到な攻撃ではないかとの疑惑から、ホワイトハウス内では報復方法をめぐって思惑が交錯する。報復手段の選択に苦悩するアメリカ大統領を始めとして、緊急非常事態に関わる人々の人間ドラマを織り混ぜたヒューマンドラマにもなっている。
女性として初めてアカデミー監督賞を受賞した「ハート・ロッカー」や、ビン・ラディン暗殺を描いた「ゼロ・ダーク・サーティ」で知られるキャスリン・ビグローが監督。2025年第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門出品。Netflixで2025年10月24日から配信中。それに先立つ10月10日から一部劇場で公開された。
北朝鮮が原子力潜水艦を保有することの危険性
この作品のポイントは、北朝鮮が原子力潜水艦を保有することによって、アメリカとその敵対陣営とのあいだの軍事的均衡が揺らぎ、それを引き金として全面核戦争が起きるという事態を描いている点にある。
実際に、北朝鮮はロシアから原子力潜水艦用の小型原子炉を複数提供されているとも報道されており、危険な未来を先取りした内容になっている。
さらに映画では、アメリカの偵察衛星が弾道ミサイル発射を捕捉し損ね、どの国が発射したのかが不明なまま緊急事態が展開するという予想外の事態が描かれてもいる。
その中で、偵察衛星がハッキングされていた可能性が浮上し、偶発的な誤射ではなく、中国やロシアとも連携した、周到な準備を行った上での先制核攻撃であったと可能性が持ち上がる。
20分後にシカゴに着弾する見通しが明らかになる中、アラスカの米軍基地から発射されたミサイルによる迎撃が失敗に終わり、事態は一挙に緊迫していく。
こうした地球規模での核戦争の危険性について、大川隆法・幸福の科学総裁は著書『真実を貫く』の中で、「客観的に見ると、『核戦争の危機』は、久しぶりにすごく近いところまで、今、 来ています。北朝鮮関係だって、いつ始まるかもう分からないのです」とした上で、「例えば、アメリカであろうが、ロシアであろうが、北朝鮮であろうが、あるいはパキスタンであろうが、インドであろうが、中国であろうが、イスラエルであろうが──これからイランもそうなると思いますが──イランであろうが、『自分の国の正義のために使うということはありえる』ということで す。これはいちおう知っておいたほうがいいと思うのです。これは決して偏向がかかった意見ではありません」と指摘している。
ロシア・中国・北朝鮮の接近を招いたバイデン元大統領の外交失政
また、このドラマの興味深い点は、ロシアと中国・北朝鮮を接近させ、アメリカに対抗する一大勢力として結束させてしまったバイデン民主党政権の過ちが浮き彫りにされていることだ。
ドラマに登場するアメリカ大統領は、国際情勢や安全保障政策に関心がなく、マイノリティや女性や子供に受けるパフォーマンスに熱心な人物として描かれており、明らかにオバマ、そしてバイデン元大統領のような民主党系の大統領が下敷きにされている。
バイデン元大統領は、ウクライナ戦争に関して、過度にウクライナへ肩入れすることによって、ロシアを中国と接近させ、北朝鮮とも軍事同盟を結ぶまでに至らせてしまった。本ドラマはその責任を問うスタンスで、アメリカの担う"世界的正義"を題材に作品を送り出してきたビグロー監督の本領が発揮されている。
大川総裁はトランプ政権が2020年以降も続いていれば、ウクライナ戦争は起きなかったとして次のように語っている。
「プーチンさんとトランプさんは仲が良かったので、もしかしたら電話で全部、解決していたかもしれないのです。だから、戦争をする前に、トランプさんが『直接会って話したい』と言っていたら、戦争をしなかったかもしれず、あんな戦争はなかったかもしれないのです」
「(ウクライナが)中立を守っている範囲内では(ロシアとの)戦争は起きなかったはずなのですが、バイデンさんが、武器供与などをやりながら、要するにEUにも入っておらずNATOにも入っていないウクライナを使って、ロシアとの前哨戦を始める作戦を持っていたということです。アメリカ自体は被害を被ることはなく、景気を回復する手段にはなるであろうということです」(『真実を貫く』より)
北朝鮮 国家消滅のシナリオ
ドラマのラストでは、いかなる報復手段を取るかで苦悩するアメリカ大統領が、ケニアで休暇を取ってサファリで象の見物をしている妻に電話をかけるなど、悩乱した様子がリアルに描かれる。
その先にあるのは、北朝鮮への限定的な核攻撃か、あるいはロシアや中国も含めた全面報復なのだろうが、少なくとも北朝鮮が徹底的な報復を受けることは間違いないだろう。
北朝鮮が核兵器開発を続ければ、必ず国家消滅に至るとして、大川総裁は次のように指摘している。
「あんな小さな 二千万人ぐらいの国が、原爆、水爆まで持って、ミサイルをポンポン撃ち、さらに次は、核ミサイルを撃つかどうかの段階でしょう。そして、米軍基地やアメリカ本土も狙えるというのです。これは絶対に潰されると思います。いつになるとは言えませんが、あちらも、『それを断念する』ということを金正恩氏が決断して、国を開けば助かる道はありますけれども、強国を目指してやるなら、ここもなくなる可能性はあると思います」(『真実を貫く』より)
ドラマ冒頭は、ジェシカ・ファーガソン演じるホワイトハウス勤務の女性連絡将校オリビア・ウォーカー大佐の日常生活から幕を開けるが、事態が深刻化する中、自らの死を覚悟しつつ務めて沈着冷静に職務を遂行し続ける姿が胸に迫る。
「死は、いつ訪れるか分からない。子供でも、若者でも、日々の覚悟が必要である」(『人格をつくる言葉』より)
平穏な日常の中に突然襲ってきた核戦争の恐怖。その中で翻弄される人々の姿を描いたこの作品は、戦後日本が眼をそらしけ続けてきた、北朝鮮や中国といった無神論独裁国家の危険な軍事拡張と、本気で対峙する時期が訪れていることを告げ知らせているかのようだ。
『ハウス・オブ・ダイナマイト』
- 【公開日】
- Netflix公開中
- 【スタッフ】
- 監督:キャスリン・ビグロー
- 【キャスト】
- 出演:レベッカ・ファーガソンほか
- 【その他】
- 2025年製作 | 112分 | アメリカ
公式サイト https://www.netflix.com/jp/title/81744537
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