《ニュース》
先進国を悩ませ、解決が困難となっている少子化問題をめぐり、米シンクタンク「アメリカン・エンタープライズ研究所」で世論調査を研究するダニエル・コックス氏は、「出生率が低下している原因は宗教の衰退が要因ではないか」という見方を、配信サービスのサブスタックにこのほど投稿しました。
《詳細》
出生率が下がっている原因はさまざまな要因が絡んでおり、一概に言えません。少子化を克服し、持続的に子供を増やしている国がない中、コックス氏は、40~59歳までのキリスト教徒は「平均2.2人の子供を持つ」のに対し、無宗教者が「1.8」だったという米ピュー・リサーチ・センターの調査に注目。コックス氏らが行った調査でも、40歳未満で子供がいないアメリカ人が「将来的には子供を持ちたい」と答える割合で、宗教的な人は「62%」だったものの、無宗教は「32%」だったといいます。つまり、信仰を持つ人は子供を欲する傾向が非常に強く、「宗教心の有無が出生率に影響している可能性」があります。
宗教的な若者が子供を持つ背景には、宗教的な家庭に育った側面が大きいです。コックス氏によると、毎週礼拝に参加する若者の59%は、パートナーを見つけることや結婚の重要性について、時々、またはそれ以上の頻度で両親と話したと答える一方、礼拝にほとんど、あるいは全く参加しない若者の38%しか、同様の経験をしていないといいます。
家庭を持つことをためらう無宗教の若者は、不安を感じる割合が高く、政治に対する悲観的見方が強く、将来への懸念も大きいです。興味深いことに、コックスの調査では、子供を持たない独身者で「幸せだ」と感じる人ほど、子供を望む割合が高いことです。子供を持たない夫婦は、今の生活を変えたくないから子供をつくらないと選択するところもありますが、実際には、「最も幸福だ」と感じる夫婦ほど、親になりたがるといいます。
子供をつくることはこの世に「希望」を体現する行為であるとコックス氏が指摘するように、希望を感じられる社会が築けるかが問われています。
《どう見るか》























