2025年10月号記事

クルド人・中国問題…

移民をどう考えるか

SNSに「外国人の犯罪」が大量に拡散され、外国人に日本が乗っ取られる印象″が広がっている。
本当にそうなのか。日本で生活する外国人が増える中、外国人政策の中道を探った。


contents

クルド人・中国問題… 移民をどう考えるか ─ Part 3 日本の見えない壁から脱却せよ


Interview

日本の見えない壁(ジャパニズム)から脱却せよ

日本に生まれてアメリカ国籍を取得した識者に、「日本が発展・繁栄する道」について語ってもらった。

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東洋大学大学院名誉教授

サム 田渕

(さむ・たぶち)1950年、石川県生まれ。立教大学卒業後に渡米し、大学院卒業後、フロリダ州政府、米政府(USTR)で働く。日本帰国後は大学、大学院で教授を務め、現在は東洋大学国際PPP(官民連携)研究所シニアリサーチパートナー、国連欧州経済委員会PPPワーキングパーティメンバー(前議長)などを務める。近著は『日本はなぜ世界から取り残されたのか』(PHP研究所)。

日本はなぜ世界から取り残されたのか
『日本はなぜ世界から取り残されたのか』
(PHP研究所)

私は石川県に生まれ、立教大学を卒業後、渡米しました。外国人の私にもアメリカはチャンスを与えてくれて、米大学院で奨学金をもらい、フロリダ州知事室や米通商代表部などで懸命に働きました。アメリカのエリートはアジア人の私に全く偏見なくフェアに接し、抜擢してくれたのです

その間に米国籍を取得し、アメリカで得た33年の経験を日本の発展に活かそうと考え、現在は、在留資格を得て日本で生活しています。"純日本国民"では分からない「日本の見えない壁(私の著書ではジャパニズムと呼ぶ)」を日々体感しており、人口が激減するこの国の未来を憂いています

例えば、在留資格は5年ごとに更新するのですが、私は半年前に準備したものの、資格を得るのに半年かかり、13万円も取られました。私は元日本人なのに区役所では「外国人の対応をしたくない」というような露骨な態度を出され、知り合いの区長にクレームを入れたほどです(笑)。

さらに、所得税などがないフロリダ州に住んでいた経験から言えば、「日本の税金は高い」とも感じており、日本は心理的にも制度的にも税制的にも、「鎖国状態」です。

 

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