《ニュース》

アメリカに向かう不法移民の主要ルートであり、その治安や自然環境の過酷さから"死のジャングル"とも称される中米パナマのダリエン地峡(ギャップ)で、通過した不法移民が、バイデン政権下のピーク時から99.98%以上激減しました。

《詳細》

ダリエン地峡は、パナマと南米コロンビアの国境地帯に広がる熱帯雨林ジャングルです。

中南米を結ぶ唯一の陸路であり、ベネズエラやハイチ、中国等を出発してアメリカを目指す多くの不法移民が通過していました。民主党政権時代のピーク時には月に約8万2000人が通過(2023年8月)。2021年から2024年の間にダリエン地峡を通過した移民は100万人以上とされています。しかし米国土安全保障省によると7月時点での通過者はわずか7人だったといいます。

背景にあるのは、トランプ大統領による移民政策です。同氏は就任初日の1月20日、南部国境における不法移民の流入阻止に向け、「国家非常事態」を宣言。国境警備隊を増員して国境地帯での取り締まりを強化するとともに、国内に滞在する不法移民の逮捕・国外追放を進めてきました。

第二次トランプ政権の発足後50日間で逮捕された不法移民は3万2000人と、バイデン政権4年間での逮捕者数を上回っています。

そうしたなか、アメリカへの越境を目指す人そのものが減り、米関税・国境警備局(CBP)の最新データによると、国境での不法越境者数はここ数十年のうちで最低水準にまで減少しています。

一方、米側の取り組みと呼応するように、ダリエン地峡が位置するパナマ当局も、犯罪歴のある人物を特定し、迅速に強制送還できる生体認証システムを導入するなど、不法移民通過の取り締まりを強化してきました。

その結果、「死のジャングル」は、今ではほぼ無人となりました。入国・滞在が見込めないなか、そもそも死の危険のある97キロの密林を通ってまで、アメリカに向かいたいというインセンティブが減少したと考えられます。

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